爆速!骨折を早く治す方法5選 – 専門医が徹底解説
掲載日:2024.11.25
日常の何気ない瞬間、スポーツに熱中している時、突然の事故…いつ、どこで起こるか分からないのが骨折です。激しい痛みと腫れ、日常生活への大きな支障は想像をはるかに超えるものです。スポーツ選手であれば試合や練習への参加が不可能になり、将来の進路に影響することもあります。会社員であれば休職を余儀なくされ、経済的な負担も大きくなり、高齢者では寝たきりになるリスクもあるでしょう。
骨折の治癒期間は、部位、年齢、ケガの程度によって異なりますが、一般的には痛みが落ち着ついて、普段の生活に支障なく戻れるまでには約2~3ヶ月かかります。しかし、ご安心ください!最新の医療技術と適切な生活習慣を組み合わせることで、この期間を大幅に短縮できる可能性があるのです。このコラムでは、骨折を少しでも早く治すための5つの方法を、わかりやすく医学的根拠に基づいて解説します。
1.適切な固定:骨折治療の原則、そして最優先事項
2.超音波治療:超音波の力で骨再生を促進
3.体外衝撃波治療:衝撃波のエネルギーで骨の再生を加速
4.骨折を早く治す食べ物:栄養バランスの良い食事で骨をサポート
5.PRP治療:再生医療の力で骨折治癒を促進
6.まとめ:骨折を早く治すために
7.参考文献
1.適切な固定:骨折治療の原則、そして最優先事項
骨折治療の第一歩にして最重要事項は、ずれた骨を正しい位置に戻し、しっかりと固定することです。骨折の症状である痛みと腫れを軽減し、骨の再生を促進するためには、折れた骨がずれたままでは治癒が遅れて、3ヶ月経っても骨が引っ付かない時は治るのが遅れている遷延治癒、6ヶ月経つと偽関節(骨と骨が引っ付かず関節のようにグラグラ動く)と言います。変形や後遺症が残るリスクも高まります。そのため、骨折早く治す方法として、まず行われるのが「整復」です。これは、整形外科医がずれた骨を元の位置に戻す処置です。整復後には、ギプスや装具を用いて骨折部を固定します。これは体の外で行う固定なので「外固定」と呼びます。
骨が粉砕骨折のように完全にずれてしまっている場合や、骨粗鬆症などで骨がもろくなっている場合は、手術が必要となる場合があります。この場合、骨折治療として体の中で「内固定」が行われます。 手術では、プレートやネジ、髄内釘などの医療器具を用いて折れた骨と骨を固定し、早期の回復を目指し、手術後のリハビリテーションも非常に重要です。 手術による骨折の内固定は、早期に社会復帰動できるというメリットがある一方、手術に伴うリスクも考慮する必要があります。
不安定な骨折 | 手術後 |
ずれていない骨折はギプスや装具による外固定で治療します。ギプスは装着したからといって、完全に安静にしていればいいというわけではありません。「骨折早く治す」ためには、動かせる範囲で指などを動かすことが重要です。これは血行を促進し、血栓の予防にもつながります。また、関節の拘縮(こわばり)を防ぐためにも、積極的に動かせる範囲での運動が必要です。
2.超音波治療:超音波の力で骨再生を促進
超音波を利用した骨折治療として注目されているのがLIPUS(低出力超音波パルス治療)です。これは、低出力の超音波を骨折部に照射することで、骨芽細胞を活性化させ、骨の再生を促進する治療法です。骨折に対する超音波治療は、痛みがなく治療時間も1回約20分程度と短いため、患者さんの負担が少ないというメリットがあります。 多くの研究[1]で、LIPUSは骨折の治癒期間を短縮する効果が示されており、特に骨折した直後の新鮮骨折への効果が期待されています。骨折超音波治療器は、多くの医療機関に導入されています。 保険適用については、骨折や骨切り術の手術後や、受傷してから3ヶ月経過しても骨がくっつかない遷延治癒や偽関節の場合に適用となります。
3.体外衝撃波治療:衝撃波のエネルギーで骨の再生を加速
体外衝撃波治療 | 施術の様子 |
体外衝撃波治療による骨折の治療は、高エネルギーの衝撃波を骨折部に照射することで、骨芽細胞(骨を作る細胞)の活性化を促し、血管新生を促進する治療法です。これは骨折早く治すための有効な手段として注目を集めています。 体外衝撃波治療は、従来の治療法ではなかなか治らない遷延治癒や偽関節に対して高い効果を示すことが報告されています[2]。また、スポーツ選手など、早期の競技復帰を目指す人にとっても有効な治療法です。痛みはほとんどなく、治療時間も短いので、患者さんの負担も軽減できます。ただし、「体外衝撃波治療器 効果」は認められていますが、現状では保険適用外であるため、自己負担が必要となる点に注意が必要です。
4.骨折を早く治す食べ物:栄養バランスの良い食事で骨をサポート
「骨折早く治す食べ物」は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、そしてタンパク質を豊富に含む食品です。「骨折に良い食べ物」として、以下のような食品が挙げられます。
- ・カルシウム:牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、小魚、緑黄色野菜
- ・ビタミンD:鮭、マグロなどの脂肪分の多い魚、卵黄、きのこ類
- ・ビタミンK:納豆、ブロッコリー、ケールなどの緑黄色野菜
- ・タンパク質:肉、魚、卵、大豆製品
- ・ビタミンC:柑橘系フルーツ、緑黄色野菜
- ・ビタミンB6:鶏肉、カツオ、ニンニクなど
これらの栄養素は、骨の形成と再生に不可欠です。「骨折良い食べ物」を意識したバランスの良い食事は、治癒を促進する上で非常に重要です。 また、「骨折食事」として、偏った食事ではなく、主食、主菜、副菜をバランスよく摂ることを心がけましょう。 さらに、ビタミンCやビタミンB6も骨の代謝を促進する効果があるので、果物や鶏肉なども積極的に摂取することが推奨されます。骨折を早く治す食べ物として、お見舞いや差し入れを考える際には、これらの栄養素を多く含む食品を選ぶと良いでしょう。また、骨折を早く治すためのサプリも注目されています。コラーゲン形成に関与する栄養素(ビタミンC、リジン、プロリン、ビタミンB6など)を含むサプリメントは、骨折の治癒期間を短縮する可能性があるという報告があります[3]。当院では、骨折を早く治したい希望の方に、骨折が治るまでサプリメントを処方しています。
5.PRP治療:再生医療の力で骨折治癒を促進
PRP(多血小板血漿)は、再生医療の一種で、自分の血液から採取した血小板を濃縮したPRPを、骨折部にエコーで確認しながら直接注入する治療法です。PRPに含まれる成長因子が、骨の再生を促進する効果が期待できます[4,5]。この治療法は、特に難治性の骨折や、従来の治療法では効果が得られなかった症例に対して有効性が示されています。 骨折早く治すための革新的な治療法として、プロスポーツ選手の間でも広く利用されています。大リーグ ヤンキースに在籍した松井秀喜選手も手首を骨折した際に使用しましたね。PRPの治療は、早期のスポーツ復帰を目指すアスリートにとって、大きな希望となります。
まとめ:骨折を早く治すために
骨折を早く治す方法は、適切な固定、超音波治療(LIPUS)、栄養バランスの良い食事に加えて、先進的な治療法(体外衝撃波治療、PRP治療)、そしてサプリメントの利用といった複合的なアプローチによって実現します。骨折治癒期間を短縮するためには、お近くの整形外科専門医に相談して、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
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参考文献
- Kristiansen TK, et al. Accelerated healing of distal radial fractures with the use of specific, low-intensity ultrasound. A multicenter, prospective, randomized, double-blind, placebo-controlled study. J Bone Joint Surg Am. 1997 Jul;79(7):961-73.
- Ryskalin L, et al. Treatment of delayed union of the forearm with extracorporeal shockwave therapy: A case report. Front Med (Lausanne). 2023 Oct 30;10:1283311.
- Kale VP, Vanga SR, Nair PA, Abilash VG. Therapeutic Potential of Platelet-Rich Plasma in Fracture Healing: A Comprehensive Review. Cureus. 2023 Nov 7;15(11)
- Sarkar MR, et al. Bone formation in a long bone defect model using a platelet-rich plasma-loaded collagen scaffold. Biomaterials. 2006 Mar;27(9):1817-23.
- Roffi A, et al. Platelet-rich plasma for the treatment of bone defects: from pre-clinical rational to evidence in the clinical practice. A systematic review. Int Orthop. 2017 Feb;41(2):221-237.