歩くと足の裏が痛い?その症状は足底腱膜炎かもしれません
掲載日:2024.11.27
足の裏に痛みを感じたことはありませんか? 朝起きて最初の一歩や、長時間の歩行後に足の裏に痛みが走るような経験は、皆さんも思い当たることがあるかもしれませんね。この症状は、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)という病気の可能性があります。足底筋膜炎とも呼ばれますが、病態は同じです。日本足の外科学会の提言として、足底筋膜炎も足底腱膜炎と呼称を統一することになりました。足底腱膜炎は、特に運動をよくする人や、長時間立ち仕事をしている人に見られますが、加齢とともに誰でも発症するリスクがあります。
1.足底腱膜炎とは?
2.足底腱膜炎の原因
3.症状
4.治療法
5.足底腱膜炎の予防
6.まとめ
7.参考文献
足底腱膜炎とは?
足底腱膜とは、足の裏のかかとからつま先にかけて伸びている靭帯の一種です。この腱膜は足のアーチを支える役割を担い、歩くときの衝撃を吸収します。しかし、足底腱膜へ継続的に負荷がかかると、とても小さな損傷が生じて炎症が発生します。これが足底腱膜炎です。
足底腱膜炎の原因
足底腱膜炎は、次のような要因によって引き起こされます。
- ・オーバーユーズ:特にランニングやジャンプを伴うスポーツは、足底に大きな負荷をかけます。
- ・足アーチの異常:扁平足や高すぎるアーチは、足底腱膜に負担をかける要因です。
- ・体重増加:急激な体重増加や肥満も足底腱膜に負荷をかけ、炎症を引き起こすことがあります。
- ・硬い靴やサポート不足の靴:サポートのない靴や安全靴など硬すぎる靴を長時間履いていると、足底腱膜に負担がかかります。
症状
足底腱膜炎の主な症状は、足の裏、特にかかと周辺の痛みです。次のような特徴が見られます。
- ・朝一番の痛み:朝起きて最初の数歩は特に強い痛みを感じることが多いです。
- ・長時間座ってから立ち上がった時の痛み:しばらく座った後に立ち上がるときも、痛みが再発することがあります。
- ・長時間の歩行や立ち仕事後に悪化:歩きすぎたり、長時間立っていると痛みが強くなることが多いです。
治療法
足底腱膜炎は、早めに対処することで症状の悪化を防ぐことができます。次の治療法が一般的です。
1. 安静とストレッチ
足底腱膜にかかる負担を減らすため、まずは激しい運動を控えて安静にすることが大切です。また、ふくらはぎの筋肉やアキレス腱、足底腱膜をストレッチすることで、柔軟性を高め、炎症を軽減する効果があります。
2. 適切な靴の選択
アーチサポートのある靴や、クッション性の高い靴を履くことが推奨されます。また、足の形に合わせたインソールを使って足底の負担を軽減することも有効です。
3. 体重管理
体重が増えると足底にかかる負担も大きくなります。適度な運動や食生活の見直しで体重管理を行うことも、症状改善に役立ちます。
4. アイシング
運動や長時間の立ち仕事の後に痛みが強い場合、炎症を抑えるために、痛みがある部分をアイシング(冷やすこと)も効果的です。1日に数回、10〜15分間冷やすことで痛みが和らぎます。
5. 運動器リハビリテーション
理学療法士によるリハビリも有効です。超音波治療や低出力レーザーは、組織の修復を促進し、炎症を抑えるために使われることがあります。
6. 薬物療法
痛みが強い場合は、鎮痛剤や抗炎症薬が使用されることがあります。医師の指導のもと、短期間使用することで痛みを軽減します。
7. 体外衝撃波治療
症状が慢性化している場合や、保存療法で効果がない場合、集束型体外衝撃波治療が考慮されます。この治療は難治性足底腱膜炎に保険適応で、腱膜に衝撃波をあてて血流を改善し、変性した神経の炎症を取り除いて組織の修復を促す治療法です。治療自体は15分ほどで終わり、注射や皮膚を切る手技ではないので、治療後に運動や入浴、仕事など特に制限はありません。二重盲検で週1回の治療を3回続けて行い、69.2%の痛みが取れたという、最も高いエビデンスレベルの報告があります[1]。
▶体外衝撃波疼痛治療について
8. PRP(多血小板血漿)治療
再生医療であるPRP治療は、難治性足底腱膜炎に効果があります。エコーで足底腱膜を確認して、炎症を起こしている部位に直接、PRPを注射する方法です。前向き研究では、ステロイドの注射と比較すると、短期的効果だけでなく3ヶ月以上の中長期に渡って、痛みの改善、機能改善が優れており、再発率も有意に少なかったと報告されています[2]。保険治療の適応ではありませんが、早期のスポーツ復帰を希望されるアスリートや保存治療で効果がない場合に考慮されます。
▶再生医療について
足底腱膜炎の予防
足底腱膜炎を予防するためには、次の点に気をつけることが大切です。
- ・足に合った靴を選ぶ:適切なサポートのある靴を選び、足底への負担を軽減しましょう。
- ・体重管理を意識する:適正体重を保つことで、足にかかる負担を減らせます。
- ・運動後のストレッチを怠らない:運動や長時間の立ち仕事後には、足底やふくらはぎのストレッチを行い、筋肉をほぐすようにしましょう
- ・無理をしない:痛みを感じたら、早めに休息を取り、無理をしないことが大切です。
まとめ
足底腱膜炎は、早期の対策で改善することが多いですが、症状が進行すると長引く場合もあります。特に、慢性的な痛みや、保存療法でなかなか改善しない場合には、体外衝撃波治療が有効です。この治療は、痛みを軽減し、足底腱膜の修復を促すため、多くの患者さんに有効な選択肢となっています。
明石市の中山クリニックでは、体外衝撃波治療をはじめとする最新の治療法を取り入れており、足底腱膜炎の改善をサポートしています。痛みが続いてお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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参考文献
- Gollwitzer H, Saxena A, DiDomenico LA, et al. Clinically relevant effectiveness of focused extracorporeal shock wave therapy in the treatment of chronic plantar fasciitis: a randomized, controlled multicenter study. J Bone Joint Surg Am. 2015;97(9):701-708
- Alkhatib N, Salameh M, Ahmed AF, et al. Platelet-rich plasma versus corticosteroids in the treatment of chronic plantar fasciitis: A systematic review and meta-analysis of prospective comparative studies. J Foot Ankle Surg. 2020;59(3):546-552.