骨折が治らないのはなぜ?考えられる原因5選を解説
掲載日:2025.04.22(最終更新日:2025.04.22)
【骨折は治る…けれど「治らない」こともある?】
「骨折」と聞くと、多くの方が「時間が経てば自然に治るもの」と思いがちです。
確かに、健康な体と適切な治療があれば、多くの骨折は2~3ヶ月で回復します。
しかし実は、中には「骨折がなかなか治らない」「いつまで経っても歩けない」という人もいるのです。
そんな方に多いお悩みがこちら
「足の骨折から半年経っても歩けるようにならない」
「骨折の痛みがいつまでも残っている」
「偽関節(ぎかんせつ)と言われたけど、どういう意味?」
今回は、そうしたケースの背景にある原因を医学的に、そしてわかりやすくご紹介します。
1.骨折が治らないってどういうこと?
2.原因① 医師の指示を守らない
3.原因② 喫煙や大量飲酒の習慣
4.原因③ 栄養不足
5.原因④ 感染症
6.原因⑤ 糖尿病などの持病
7.偽関節と遷延治癒の違いは?
8.骨折が治りにくい人の特徴
9.骨折を早く治すためのアドバイス
10.まとめと行動のすすめ
骨折が治らないってどういうこと?
通常、骨折した骨は時間とともに「仮骨(かこつ)」という新しい骨でつながり、徐々に元の状態に戻っていきます。
しかし何らかの原因でこの仮骨がうまく作られなかったり、途中でズレてしまったりすると、いつまで経っても骨がつながらない状態になります。
これを医学的には骨折してから3ヶ月経っても治らない状態を「遷延治癒(せんえんちゆ)」、6ヶ月経っても治らない状態を「偽関節(ぎかんせつ)」と呼びます。
原因① 医師の指示を守らない
「痛みが引いたからギプスを外してしまった」
「もう歩けると思って自己判断で運動を再開した」
こうした行動は、骨が完全に治る前に負荷をかけることになり、骨がズレたり再骨折したりする原因になります。
骨の治癒には整復と固定が基本です。医師の判断なしにギプスを外すのは絶対にNGです。
原因② 喫煙や大量飲酒の習慣
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、骨に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。
また、アルコールはカルシウムやビタミンDの吸収を阻害し、骨の修復に必要な細胞の働きを鈍らせます[1]。
🔻チェックポイント
・骨折しているのに喫煙を続けている
・毎晩のようにお酒を飲んでいる
これらに該当する方は、骨の治りが遅くなるリスクが高いです。
原因③ 栄養不足
骨を作るためにはカルシウム、ビタミンD、タンパク質などが必要です。
偏った食事や過度なダイエットによってこれらが不足すると、骨の材料が足りず、新しい骨が作られにくくなります。
🍽 骨折時におすすめの栄養素
- カルシウム:牛乳、チーズ、干しエビ、小魚
- ビタミンD:鮭、サバ、キノコ類、卵
- タンパク質:肉、魚、豆腐、卵
原因④ 感染症
特に開放骨折(皮膚を突き破って骨が露出する骨折)では、細菌が体内に侵入しやすくなります。
一度骨の中にバイ菌が入ってしまうと、治療は長引き、場合によっては手術が必要になります。
骨は無菌状態が基本。感染症は骨の治癒に大きなダメージを与えます。
原因⑤ 糖尿病などの持病
糖尿病の人は血流が悪く、骨の治癒に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。
また、免疫力が低下しているため、感染症のリスクも高まります[2]。
✅ 糖尿病のある方は
・血糖値のコントロールを徹底
・骨折時は早めに医師へ相談
・手術が必要な場合は、事前に血糖管理が必須
偽関節と遷延治癒の違いは?
よくある疑問がこちら:
Q. 「偽関節」と「遷延治癒」ってどう違うの?
🔍 解説:
・遷延治癒:通常の治癒期間を過ぎても、骨がなかなかくっつかない状態(約3〜6ヶ月)
・偽関節:骨が治るのを完全に諦めてしまい、関節のように動いてしまう状態(6ヶ月以上)
骨がつながらない場合、超音波治療や対外衝撃波治療、PRP治療などで治ることもあります。
それでも骨癒合しないと、骨移植など手術が必要になることがあります。
骨折が治りにくい人の特徴
以下の項目に当てはまる方は、骨折の治りが遅くなるリスクがあります。
・喫煙者
・栄養が偏っている
・高齢者
・糖尿病などの持病がある
・骨粗しょう症のある女性
骨折を早く治すためのアドバイス
・医師の指示に従い、自己判断で動かさない
・タバコをやめる(骨折は禁煙のチャンス!)
・お酒を控えめにする
・栄養をしっかり摂る
・感染予防に清潔を保つ
・慢性疾患のある方は、病気のコントロールをしっかり行う
特に足骨折で歩けるまでの期間を短くするには、これらすべてが重要です。
骨折を早く治す方法についてはこちら
まとめ
骨折は誰にでも起こるケガですが、治るかどうかはその後の行動にかかっています。
「骨折 治らない 原因」を知っておくことで、
「骨折 治りにくい人」にならないようにすることができます。
もし現在、骨折中の方や、なかなか治らず不安な方がいらっしゃいましたら、
栄養バランスの見直しも含めて、中山クリニックの栄養相談をご活用ください。
骨折治療は、医師だけでなく患者さんご自身の協力も大切です。
一緒に正しいケアで、骨の治癒をサポートしましょう!
引用文献
- Eby JM, Sharieh F, Callaci JJ. Impact of Alcohol on Bone Health, Homeostasis and Fracture repair. *Curr Pathobiol Rep*. 2020;8(3):75-86.
- Tanios M, et al. Diabetes and Impaired Fracture Healing: A Narrative Review. *Curr Osteoporos Rep*. 2022;20(5):229-239.