中山クリニック

【夜に足がつる原因はこれ】絶対に知っておきたい「こむら返り」の原因 スッキリ眠る改善方法!医師が徹底解説

掲載日:2024.08.07

この夏、日本は、酷暑という言葉がピッタリ当てはまる、ものすごい暑さが続いていますね。これだけ暑いと、夜も寝苦しいのでエアコンや扇風機をかけたまま過ごされる方も多いでしょう。すると夜中に突然、急にふくらはぎがズキっと痛くなって目が覚めたこと、ありませんか?そうです、この現象は「こむら返り」あるいは「こむらがえり」や「足がつる」と言いますね。医学用語では、少し難しい言葉になりますが、「有痛性の筋攣縮:きんれんしゅく」や「筋痙攣:きんけいれん」と表現します。今回は、この「こむら返り」について、わかりやすく解説していきます。なぜ夜中に起こるのか、どうすれば防げるのか、そして痛みを和らげる方法まで、今回のコラムでは詳しく述べていきます。

————目次————
1.こむら返りとは?
2.こむら返りが起こる仕組み
3.こむら返りの原因は?
4.隠れた病気は?
5.こむら返りの治し方
6.こむら返りの予防法
7.まとめ
8.参考文献

こむら返りとは?


こむら返り」とは、ふくらはぎの筋肉が突然収縮して硬直し、強い痛みを伴う現象のことです。特に寝ている時に起こりやすく、多くの人が経験したことがあるでしょう。まず、「こむら返り」は本当に痛いです!寝ているときに突然ふくらはぎがつって、その痛みで目が覚めてしまう…。これが何度も続くと、寝不足になってしまって、次の日の仕事や生活にも影響が出ます。また、こむら返りの痛みが残ることもあります。そんな辛い思いをしないために、まずは「こむら返り」がどのように起こるのか、原因を知ることが大切です。そして、その原因を知ることで、どんな予防策や治し方があるのかもお伝えします。

こむら返りが起こる仕組み

「こむら返り」の原因をより深く理解するためには、筋肉が伸び縮みする仕組みを理解しましょう。筋肉は伸び過ぎても縮み過ぎてもダメで、バランスが大事です。筋肉の伸び縮みをコントロールするのが「筋紡錘(きんぼうすい)」と「腱紡錘(けんぼうすい)」になります(1)

筋紡錘とは

筋紡錘は、筋肉の中にあって筋肉の長さやその変化を感知するセンサーです。筋肉が急に伸ばされると、この筋紡錘が反応して、背中にある脊髄の神経を介して「筋肉に縮めろ」という指令を送ります。この仕組みは、筋肉が伸び過ぎて傷つくのを防ぐために重要な安全機能になります。しかし、筋紡錘が過剰に敏感になると、特に睡眠中のリラックスした状態でも、ちょっとした刺激で筋肉が急に収縮してしまい、こむら返りが発生することがあります。これは意識しなくても起こる神経反射の一つです。

腱紡錘とは

一方で、腱紡錘は筋肉の端についた骨にあり、筋肉が縮み過ぎた際に、それを感知して「筋肉を緩めろ」という信号を送る役割を担っています。腱紡錘は、筋肉が縮み過ぎて傷つくのを防ぐための制御機構です。つまり、こむら返りが発生する時、筋紡錘の過剰な反応に対して腱紡錘の抑制機能が十分に働かないことによって、筋肉が縮んだままになり、強い痛みが伴うことになります。
まとめると、こむら返りが起こる時には、筋紡錘がすぐに反応する状態、腱紡錘は逆に反応しないので、筋肉が緊張して縮んだ(攣縮:れんしゅく、痙縮:けいしゅく)状態になっています。また肉ばなれは、筋肉が傷つく状態なので、こむら返りとは違う病態になります。

こむら返りの原因は?


こむら返りの原因は大きく次の5つに分類されます。

  1. 筋肉の疲労:運動や長時間の立ち仕事などで、ふくらはぎの筋肉が疲労すると、こむら返りが起こりやすくなります。暑い中でサッカー中に脚がこむら返りになる選手がいい例ですね。
  2. 水分不足:体内の水分や電解質(ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)が不足すると、筋肉が正常に働かなくなり、脚がつりやすくなります。夏の暑い日に水分補給せず汗をかくと脱水になりやすくなります。
  3. 血行不良:冷え性や長時間同じ姿勢を続けることでふくらはぎの筋肉の血流が悪くなると、こむら返りが起こりやすくなります。エアコンや扇風機の風が足に直接当たると特に危険です。
  4. ミネラルの不足:カルシウムやマグネシウムが不足すると、筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れ、こむら返りの原因となります。
  5. 寝てる時の姿勢:寝ている時に足が曲がったり伸びたりすることで、筋肉が無理な緊張を強いられ、こむら返りが起こることがあります。

これらの原因から、意識しなくても神経が敏感になり、筋紡錘が活動しすぎて筋肉が縮みすぎて痛みを感じた筋攣縮、つまり、こむら返りとなって足がつります(2)

隠れた病気は?

では、足がつる原因となる病気について解説します。

  1. 糖尿病 糖尿病は、神経の障害、腎臓の障害、眼の網膜症の三大合併症に加えて、動脈硬化による血行障害があります。神経と血行の障害により、糖尿病が重症であることに比例して、頻回にこむら返りが起こりやすいと報告されています(3)(4)
  2. 腰部脊柱管狭窄症 整形外科の外来診療では、ほぼ毎日遭遇する疾患ですね。腰の神経が通っている脊柱管という腰椎の骨の中で神経が圧迫されることによって神経反射に異常をきたしてこむら返りが起こります。高齢者になると、水分不足やミネラル不足になるため頻度が増えます。
  3. 閉塞性動脈硬化症 年齢とともに、動脈硬化が進んで血管が狭くなるので血流が悪くなり、足がつる原因になります。喫煙や悪玉コレステロールが高いとリスクが高くなります。
  4. 熱中症 身体から水分が足りなくなって脱水になり、また汗をかくことでミネラル不足となり、足がつる症状が熱中症の初発症状であることがあります。

その他にも肝機能障害の方や妊婦の方は、ミネラルバランスが崩れるため、こむら返りになりやすいです。

こむら返りの治し方

こむら返りが起こったときの対処法についてもご紹介します。

  1. ストレッチ:こむら返りが起こった時は、ふくらはぎの筋肉を伸ばすようにしましょう。具体的には、つま先を手前に引き寄せるようにしてゆっくりとふくらはぎを伸ばします。
  2. マッサージ:ふくらはぎを軽く揉んで血流を良くすることで、筋肉の緊張をほぐします。
  3. 温める:温かいタオルや湯たんぽなどで患部を温めると、血行が良くなり、痛みが和らぎます。
  4. 漢方薬芍薬甘草湯の服用が効果あります(5)。ランダム化比較試験では、芍薬甘草湯を内服した群では87.5%に効果があり、プラセボ群では28.6%しか効果がありませんでした。この漢方薬はお湯に煎じて内服するとより吸収されやすくなります。


こむら返りの予防法

こむら返りを防ぐための方法もいくつかありますので、試してみてください。

  1. 適度な運動:ふくらはぎの筋肉を柔軟に保つために、日常的に軽い運動やストレッチを行いましょう。
  2. 水分補給:日常的にこまめに水分を摂るようにし、特に運動後や寝る前にはしっかり水を飲みましょう。
  3. バランスの取れた食事ミネラル(特にカルシウムマグネシウムカリウム)を含む食材を意識的に摂取しましょう。例えば、バナナやほうれん草、ナッツ類などがおすすめです。
  4. 温かくする:夏場は、エアコンや扇風機の風が直接脚に当たらないよう工夫しましょう。寒い季節には、ふくらはぎを冷やさないように靴下を履いたり、寝る前に足を温めるようにしましょう。
  5. 就寝前のアルコール禁止:アルコールは利尿作用があるので、脱水になる傾向があるため控えましょう。
  6. 芍薬甘草湯の服用:夜中にこむら返りになりやすい方は、寝る前に予防内服します。しかし、この漢方薬は長期間服用すると、低カリウム血症になるので常用することは控えましょう。
  7. L-カルニチンの補充:L-カルニチンを1日600mg 4ヶ月間服用すると、こむら返りの頻度と重症度が有意に減少したという報告があります(6)


まとめ


今回は、「こむら返り」の原因や治し方、予防法について詳しくお伝えしました。こむら返りの原因は、筋肉の疲労や水分不足、血行不良、ミネラル不足などが考えられます。治し方としては、ストレッチやマッサージ、温める方法が効果的です。また、予防法としては、適度な運動や水分補給、バランスの取れた食事、ふくらはぎを冷やさないこと、が挙げられます。それでも改善しない場合は、漢方薬やサプリメントの服用を検討しましょう。今夜からでも実践できる方法ばかりですので、ぜひ試してみてください。そして、こむら返りの原因を理解し、予防と対策をしっかり行うことで、スッキリとした眠りを手に入れましょう!もし、こむら返りが続くようであれば、かかりつけの医師に相談することも大切です。酷暑に負けないよう健康で快適な毎日を送りましょう!

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参考文献

    1. The role of cramps in exercise-associated muscle cramps: Passive stretching and muscle cramping frequency. Miller, K. C., & Stone, M. S. (2019).Journal of Sports Sciences, 37(4), 462-469.
    2. Muscle cramp: Main theories as to aetiology. Jansen, P. H., Joosten, E. M., & Vingerhoets, H. M. (1990). European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience, 240(6), 349-352
    3. Cramps frequency and severity are correlated with small and large nerve fiber measures in type 1 diabetes.Alon Abraham et. al Clin Neurophysiol. 2018 Jan;129(1):122-126.
    4. Relationship Between Muscle Cramps and Diabetic Retinopathy in Patients with Type 2 Diabetes:Diabetes Metab Syndr Obes. 2022; 15: 827–837.
    5. Takao Y, Takaoka Y, Sugano A, et al. Shakuyaku-kanzo-to(Shao-Yao-Gan-Cao-Tang) as treatment of painful muscle cramps in patients with lumbar spinal stenosis and its minimum effective dose. Kobe Journal of Medical Sciences 2015; 61:E132-7.
    6. Effects of L-carnitine supplementation on the quality of life in diabetic patients with muscle cramps. Ayumi Imbe et al. Endocr J. 2018 May 28;65(5):521-526.