膝折れの原因と医学的根拠のあるリハビリ
掲載日:2024.09.11
今回は「膝折れ」について、その原因と医学的根拠のある効果的なリハビリについて解説します。分かりやすく説明していきますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
1.膝折れとは
2.膝折れの原因
3.膝折れの症状
4.膝折れの診断方法
5.膝折れの対策
6.医学的根拠のあるリハビリテーション
7.日常生活での注意点
8.まとめ
9.参考文献
膝折れとは
まず、「膝折れ」って聞いたことありますか?簡単に言うと、歩いているときや立っているときに、突然膝が曲がってしまう現象のことです。まるで、膝の力が抜けてしまったかのように感じるでしょう。膝折れが起こると、バランスを崩して転んでしまったり、痛みを感じたりすることがあります。特に高齢者の方にとっては、大きな怪我につながる可能性もあるので要注意です。
膝折れの原因
膝折れには、いくつかの原因があります。主な原因を見ていきましょう。
筋力の低下
膝を支える筋肉、特に大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という太ももの前側にある大きな筋肉が弱くなると、膝折れが起こりやすくなります。骨折や捻挫の怪我で数週間足をギプス固定をした後に起こることがあります。年齢を重ねると自然と筋力は落ちていきますが、運動不足でも筋力は低下します。だから、適度な運動を続けることがとても大切なんです。
靭帯(じんたい)の損傷
膝には、骨と骨をつなぐ靭帯という丈夫な組織や骨と骨の間に半月板というクッションがあります。スポーツ中の事故や転倒などで、この靭帯や半月板が傷ついてしまうことがあります。特に、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)という膝の中心部にある靭帯が切れると、若くても膝が不安定になって膝折れを起こしやすくなります。半月板が断裂すると、膝が引っかかるような状態になって膝折れを起こすことがあります。
関節の炎症や変形
関節リウマチや変形性膝関節症という病気にかかると、膝の関節に炎症が起きたり、骨が変形します。そうすると、靭帯がゆるんで膝を曲げ伸ばしする動きがスムーズにできなくなり、膝折れの原因になることがあります。
神経の問題
脳卒中(脳梗塞や脳出血など)で片脚が動かなくなる状態を片麻痺(へんまひ)といいます。また脊柱管狭窄症や脊髄の病気にかかると、足の動きを制御する神経の働きが悪くなることがあります。すると、歩くときにうまく足に力が入らず、膝折れを起こしやすくなります。医学用語では少し難しい言葉ですが、痙性跛行(けいせいはこう)と言います。
膝折れの症状
膝折れの主な症状は以下の通りです:
- 歩行中や立ち上がるときに、突然膝が曲がる
- 膝に力が入らない感じがする
- 膝が不安定で、グラグラする感覚がある
- バランスを崩して転びそうになる
これらの症状が一つでもあれば、膝折れの可能性があります。特に、何度も繰り返し起こる場合は要注意です。
膝折れの診断方法
膝折れの正確な原因を突き止めるには、医療機関での診断が必要です。診断方法にはいくつかの方法がありますが、ここでは主なものを紹介します。
問診と身体診察
医師があなたの症状や生活習慣について詳しく聞き取りを行います。そして、実際に膝を触わり動かして、押さえた時の痛みや動きの範囲などを確認します。
レントゲン検査
膝の骨の状態を調べるために、レントゲン撮影を行うことがあります。骨の変形や関節の隙間が狭くなっていないかをチェックします。
MRI検査
MRIは、強力な磁石を使って体の中の様子を詳しく撮影する検査です。靭帯や軟骨、筋肉、神経の状態を細かく観察することができます。
歩行分析
医療技術の進歩により、コンピューターやAIを使って歩き方を詳しく分析することができるようになりました。歩行分析では、あなたが歩いているときのスピードや、足の動き、バランス、体重のかかり方、などを細かくチェックします。これにより、転倒のリスクや筋肉の使い方などが分かり、歩行能力が点数化されます。
膝折れの対策
膝折れの治療は、原因によって異なります。ここでは、一般的な治療方法をいくつか紹介します。
保存療法
- ・理学療法:理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋力トレーニングを行います。
- ・装具の使用:膝を安定させ、膝折れを防止する特殊な装具やサポーターを使うことがあります。
- ・薬物療法:痛みや炎症を抑えるお薬を使うことがあります。
手術療法
保存療法で改善が見られない場合は手術を行うことがあります。
重度の靭帯損傷や半月板損傷は関節鏡(内視鏡)で切れた靭帯を修復したり、関節の変形があり痛みが強い場合は人工関節に置き換える治療、また脊髄が圧迫されている場合は、神経の圧迫を取る手術などがあります。
医学的根拠のあるリハビリテーション
膝折れの治療で最も重要なのが、リハビリテーション(リハビリ)です。ここでは、医学的根拠があり膝折れを防ぐ効果的なリハビリの方法を紹介します。
筋力トレーニング(1)
膝を支える筋肉、特に大腿四頭筋を鍛えることが大切です。以下のような運動が効果的です:
- ・椅子を使ったスクワット:膝を軽く曲げて、ゆっくりと腰を落とす運動です。
- ・ストレートレッグレイズ:寝たまま脚を伸ばして上げる運動です。
- ・サイドレッグリフト:横向きに寝てゆっくりと脚を伸ばしたまま上げる運動です。
バランストレーニング(2)
膝を安定させるには、バランス感覚を養うことも重要です。以下のような運動が効果的です:
- ・片足立ち:両手を広げて、できるだけ長く片足で立ちます。
- ・ボールキャッチ:片足で立ちながら、ボールを投げたり受け取ったりします。
- ・バランスボード:専用の不安定な板の上で、バランスを取る練習をします。
関節可動域訓練(3)
膝の動きを改善するために、以下のような運動を行います:
- ・膝の屈伸運動:椅子に座って、ゆっくりと膝を曲げ伸ばしします。
- ・かかと滑り:仰向けに寝て、かかとを床に付けたまま膝を曲げ伸ばしします。
歩行訓練
正しい歩き方を身につけることも、膝折れの予防に役立ちます。理学療法士の指導のもと、以下のような練習を行います。歩くのが不安定な場合はこちらの体操から始めましょう:
- ・安全に歩く:正しい姿勢でゆっくりと歩く練習をします。
- ・屋外の歩行:障害物を避けながら歩く練習をします。
- ・段差歩行:階段や段差を上り下りする練習をします。
中山クリニックでは、最新の歩行分析システムを用いて、あなたの歩き方の特徴を詳しく調べることができます。その結果をもとに、個人に合わせた最適な歩行訓練プログラムを作成します。
日常生活での注意点
膝折れを予防し、健康な膝を維持するために、日常生活で気をつけるべきポイントをいくつか紹介します。
適度な運動を心がける
筋力を維持するために、ウォーキングや水泳など、膝に負担の少ない運動を定期的に行いましょう。ただし、痛みを感じるような無理な運動は避けてください。
体重管理
余分な体重は膝への負担になります。バランスの取れた食事と適度な運動で、健康的な体重を維持しましょう。
正しい靴選び
歩くときの衝撃を吸収し、足をしっかりサポートする靴を選びましょう。特に、ウォーキングやランニングをする人は、自分の足に合った適切なスポーツシューズを使用することが大切です。
転倒予防
特に高齢の方は、家の中の段差をなくす、手すりをつける、滑り止めマットを使用する、など転倒を予防する環境づくりが重要です。
医療機関での診察
膝に違和感を感じたり痛い、足に力が入らない、脚が痺れる、などの症状があれば、早めにお近くの整形外科専門医を受診しましょう。
まとめ
膝折れは、様々な原因で起こる厄介な症状です。でも、早期発見と適切な治療、そして効果的なリハビリを行えば、改善します。大切なのは、膝の健康に日頃から気を配ることで、膝のセルフチェックを行い、何か異常を感じたらすぐにお近くのかかりつけ医に相談しましょう。
中山クリニックでは、AIを用いた歩行分析システムやMRI検査を用いて、膝折れの原因を詳しく調べることができます。また、それぞれの患者さんに合わせた、効果的なリハビリプログラムも提供しています。膝の健康に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。皆さんが笑顔と健康で幸せな生活が過ごせるよう、私たちがサポートいたします。膝折れに負けない、元気な体づくりを目指しましょう!
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参考文献
- Daşkapan A, et al. Comparison of mini-squats and straight leg raises in patients with knee osteoarthritis: A randomized controlled clinical trial. Turk J Rheumatol. 2013;28(1):16-26
- Cuğ M, Ak E, Özdemir RA, Korkusuz F, Behm DG. The Effect of Instability Training on Knee Joint Proprioception and Core Strength. J Sport Rehabil. 2012;21(2):186-193.
- Bennell KL, et al. Efficacy of a multimodal physiotherapy treatment program for hip osteoarthritis: a randomised placebo-controlled trial protocol. BMC Musculoskelet Disord. 2010;11:238.