中山クリニック

【膝に水が溜まる】初期症状 を見逃すな!放置厳禁!医師が解説する 原因・予防

掲載日:2024.10.15

膝が痛い
膝に水が溜まる」ということを聞いたことがある方は多いと思います。これはどういう状態なのでしょうか?実は、これはすでに膝で異常が起こっているという、とても重要なサインなんですね。今回は、膝が悪くならないように早めに対処できるように、膝に水が溜まる初期症状について、わかりやすく解説していきます。

————目次————
1.はじめに
2.膝に水が溜まる原因
3.半月板ってなに?
4.なぜ水が溜まるの?
5.膝に水が溜まる初期症状
6.動かしにくさとは?
7.腫れの見分け方
8.なぜこんなに水が溜まるの?
9.水はどこに溜まるの?
10.マッサージで水を抜けるって本当?
11.正しい対処法
12.膝の水が溜まらない予防法
13.まとめ
14.参考文献

はじめに

階段膝が痛い
みなさん、驚くかもしれませんが、人間の膝には、なんと体重の3倍もの負荷がかかることがあるんです[1]。例えば、階段を降りる時などはそれくらいの負荷がかかります。これを聞いただけでも、膝がどれだけ大切で、同時にどれだけストレスにさらされているかがわかりますよね。でも、それ以上に衝撃的なのは、「膝に水が溜まる」という現象です。これは、あなたの膝が悲鳴を上げている証拠なんです。

膝に水が溜まる原因

膝関節
まず、膝の構造について簡単に説明しましょう。膝は主に3つの骨で構成されています。

  1. 大腿骨(だいたいこつ):太ももの骨。
  2. 脛骨(けいこつ):すねの骨
  3. 膝蓋骨(しつがいこつ):膝のお皿の骨

これらの骨の間には、クッションの役割をする「半月板」や、骨の表面を覆う「関節軟骨」があります。

半月板ってなに?

半月板は、まるでサンドイッチの具材のように、大腿骨と脛骨の間で内側と外側にそれぞれC字型をした形で挟まっています。その役割は、衝撃を吸収し、体重を分散させること。つまり、膝のショックアブソーバーになります。

なぜ水が溜まるの?

膝に水が溜まる主な原因は、この半月板や軟骨の損傷です。これらが傷つくと膝の中に炎症が起こり、水が溜まります。これは、まるで膝の中で大雨が降り、洪水が起こっているようなものです。放っておくと、どんどん悪化して線状降水帯のようになって大水害のようになって膝がパンパンになるまで水が溜まります。「でも、日常生活でそんなに簡単に傷つくものなの?」と思うかもしれません。実は、かなり傷つきやすいんです。例えば…急に床から立ち上がったり、膝をひねったりするだけで傷つく可能性があります。特に、デスクワークが多い人は要注意。長時間座っていると、膝の柔軟性が低下し、ちょっとした動きで半月板を傷つけやすくなります[2]。つまり、私たちの多くが知らないうちに膝を傷めている可能性があるんです。だからこそ、早期発見・早期治療が重要なんです。

膝に水が溜まる初期症状

では、どんな症状に気をつければいいのでしょうか?主な初期症状は次の3つです。みなさん、一緒にチェックしてみましょう!

あなたの膝は大丈夫?チェックリスト

  1. 膝のはれ
  2. 動かしにくさ
  3. 違和感や軽い痛み

これらの症状が1つでもあれば要注意です。特に、運動した後に膝が腫れているのは典型的な症状です。

動かしにくさとは?

動かしにくい」というのは、どういう状態なのでしょうか。軟骨や半月板が痛み始めて、剥がれた軟骨や半月板が骨と骨に挟み込まれている可能性があります。そして膝を動かすと違和感や痛みが出てくるのですね。

腫れの見分け方

腫れているのが分かりにくい場合もありますよね。そんな時は、こんな方法をお勧めします。
両膝を並べて、正面から見てみてください。もし片方の膝だけが丸みを帯びていたり、膝の大きさが違う、皮膚のシワが左右対称でない場合は、すでに水が溜まっている可能性が高いです。

関節水腫写真写真1 関節穿刺写真2

例えば、当院で診察した患者さんの場合、明らかに右膝が腫れていました(写真1)。左膝のお皿の上にあるシワが、右膝では水が溜まって腫れているのでシワがなくなっていたんです。この患者さんの場合、水を抜くと24ccも穿刺できました(写真2)。これだけの量が膝の中に溜まっていると、膝が動かしにくくなりますね。

なぜこんなに水が溜まるの?

膝にすでにかなり炎症が起こっているからです。その原因は、軟骨や半月板が痛んでいるのですね。傷んだことに体が反応して関節を包んでいる袋である滑膜に炎症が起こり、その結果水が溜まるのですね。

水はどこに溜まるの?

水が溜まるのは膝の関節の中で、膝蓋上嚢(しつがいじょうのう)といいます。ちょうどお皿の骨の裏になり、太ももの骨との間になります。ちょうどお皿の骨の裏になり、太ももの骨との間になります。ですから、水が溜まって関節が膨らむので、風船が膨らんだように皮膚のシワがなくなるのです。

マッサージで水を抜けるって本当?

「マッサージしたら水を抜くことができる」という動画を見かけることがありますが、これは全く医学的根拠がありません。マッサージすると後ろの関節包に水が移動するだけで、むしろ炎症をさらに悪化させる危険があるので、とても推奨できません。
膝が痛い
アメリカ整形外科学会は、マッサージを治療法とは認識しておらず、いわゆる「あなたの感想ですね」のレベルです。

正しい対処法

では、膝に水が溜まる前に、先ほどの膝の腫れ、動かしにくい、違和感や痛みがあるときはどうすればいいのでしょうか?
MRI

早期診断の重要性

まず早めに整形外科専門医の診察を受けましょう。そしてレントゲンでは異常がなくてもMRI検査を受けることをお勧めします。MRIは非侵襲的で、軟部組織の状態を詳しく正確に把握できる優れた検査方法です。軟骨を守って痛みをとり、健康な膝を維持できることになります。早期発見・早期治療が、膝の健康を守る鍵になるのですね。

膝の水が溜まらない予防法

①膝に負担のかからない運動

膝の軟骨に負担のかからない運動を心がけましょう。具体的には、ウォーキング、サイクリング、水泳です。特に水泳は、水の浮力で関節にかかる負荷が減るので軟骨に優しい運動になります。泳ぐのが苦手な人は、プールの中を歩くだけでも効果があります。水中ウォーキングや水中エアロビクスも膝に優しい運動なんです。

②体重管理

体重が増えると膝に負担がかかります。階段の昇り降りでは、膝に体重の約3倍負荷がかかるので、体重が5kg増えると膝には15kgも余分に負担がかかります。体重増加は女性の敵だけでなく、膝の敵でもあるんですね。みなさん気をつけましょう。

③ストレッチと筋力トレーニング

ストレッチで膝の柔軟性と伸長性を引き出して、筋力、特に大腿四頭筋の訓練がとても重要です。詳しくは動画のリンクからご覧ください。

 

ストレッチ

  • 1. 膝を伸ばして座り、つま先を触るように体を前に
  • 2. 立った状態で、かかとを尻に付けるように脚を曲げる

筋力トレーニング

  • 1. スクワット(膝を曲げすぎない)
  • 2. サイドレグリフト(横向きに寝て脚を上げる)
  • 3. レッグエクステンション(仰向けに寝て脚を上げる)

これらの運動を行う際は、痛みを感じない範囲で行うことが大切です。

④正しい姿勢

正しい姿勢もとても重要です。悪い姿勢は膝に重りをつけて歩いているようなもので、膝への負担が大きくなります[3]。歩く時も前後の重心バランスが悪いと膝に負担がかかります。
MRI

正しい姿勢のポイント

  • 1. 背筋をまっすぐ伸ばす
  • 2. 肩の力を抜く
  • 3. あごを引く
  • 4. お腹を引き締める

ですから、姿勢を正して普段の生活を心がけましょう。

まとめ

今日、解説した内容をまとめると

  • 1. 膝に水が溜まるのは、半月板や軟骨の損傷のサイン
  • 2. 膝が腫れる、動かしにくい、違和感や痛みがあるという場合は要注意
  • 3. 予防には正しい姿勢と適度な運動が効果的
  • 4. 早期発見と早期治療が重要

院長先生
膝の状態が気になる皆さんへのアドバイスです。膝の痛みや違和感を感じたら、早めに整形外科専門医の診察を受けましょう。そしてレントゲンで異常なくてもMRI検査を受けることをお勧めします。MRIは体に負担のない検査で、骨はもちろん、半月板や関節の軟骨、靭帯などの状態を詳しく正確に把握できるとても優れた検査方法です。

最後までこのコラムをお読み頂きありがとうございました。軟骨を守って痛みをとり、健康な膝で笑顔で明るく楽しい生活を過ごしましょう。

再生医療 無料カウンセリング

再生医療に興味のある方に、当院では無料カウンセリングを提供しています。

専門のスタッフが丁寧に説明し、個別相談を通じて最適な治療法をご提案します。APS療法や脂肪幹細胞移植について詳しくご案内し、ご希望に応じて画像診断の予約も承ります。

初診の患者様でもご利用いただけますので、お気軽にお申し込みください。

再生医療

▶再生医療について
▶膝関節の疾患一覧
関連記事:今すぐやめて! 膝が悪くなる動作3選
関連記事:膝 (ひざ) に水がたまる ! どうすればいい?

参考文献

  1. Kutzner, I., et al. (2010). Loading of the knee joint during activities of daily living measured in vivo in five subjects. Journal of Biomechanics, 43(11), 2164-2173.
  2. Brindle, T., et al. (2001). The meniscus: review of basic principles with application to surgery and rehabilitation. Journal of Athletic Training, 36(2), 160-169.
  3. Boling, M., et al. (2009). A prospective investigation of biomechanical risk factors for patellofemoral pain syndrome. The American Journal of Sports Medicine, 37(11), 2108-2116.