【衝撃の事実】医者が飲まない薬5選!誰もが飲んでる身近な薬の危険性
掲載日:2025.01.20
「え、あの薬が危険なの?」
ドラッグストアや病院で、誰もが一度は手にしたことがある薬。風邪をひけば総合感冒薬、眠れない夜には睡眠薬、痛むときには痛み止め。私たちは、これらの薬をまるで生活の一部のように使っています。しかし、ちょっと待ってください。実は、私たちが「安心」と思って使っている薬の中には、使い方を間違えると体に大きな負担をかけてしまうものがあるんです。今回は、現役医師が「これは絶対に飲まない」と断言する、身近な危険な薬を5つご紹介します。
「でも、みんな使ってるし、大丈夫じゃない?」
そう思った方もいるかもしれません。確かに、これらの薬は私たちの生活をサポートしてくれる便利な存在です。しかし、その便利さの裏には、知っておくべき落とし穴が潜んでいます。
特に、長期間の使用や誤った使い方をすると、私たちの健康に深刻な影響を与える可能性があります。例えば、睡眠薬を毎日飲んでいたら、薬がないと眠れなくなってしまうかもしれません。また、風邪をひくたびに抗生物質を飲んでいると、薬が効きにくくなってしまうこともあります。これらの問題は、決して他人事ではありません。
だからこそ、私たちは薬の正しい知識を身につけ、賢く付き合っていく必要があるのです。
「じゃあ、どうすればいいの?」
ご安心ください。このコラムでは、危険な薬の具体的な名前と、なぜ危険なのか、そしてどのように使えば安全なのかを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、あなたも薬の危険性を正しく理解し、自分自身と大切な人の健康を守ることができるでしょう。
それでは、医師が絶対に飲まない、5つの身近な薬を見ていきましょう。
1.依存性が怖い!睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)
2.風邪に抗生物質は効かない!
3.痛みを一時的にごまかすだけ?痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)
4.意外な落とし穴!芍薬甘草湯
5.眠気や体温調節の混乱も?市販の総合感冒薬
6.まとめ
7.引用文献
1. 依存性が怖い!睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)
「眠れない夜のお供」として、多くの人が頼りにしている睡眠薬。特に「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるタイプの睡眠薬は、効果が高い反面、注意が必要です。この薬の最も大きな問題点は、依存性です。「飲まないとさらに眠れなくなる」という状態に陥ってしまう危険があるのです。
また、長期的に使用すると、睡眠の質が低下してしまうという報告[1]もあります。さらに、高齢者の方が夜中にトイレに行こうとして、眠剤の影響でふらつき転倒して骨折する危険性もあります。寝る前にアルコールと一緒に睡眠薬を飲むと記憶障害や意識朦朧を招くので絶対にやめてください。
では、どうすればいいのでしょうか?睡眠薬は、必要な時だけ、一時的に使うのが原則です。例えば、海外旅行で時差ボケになって眠れない時や、手術の前日に緊張して寝付けない時など、限定的な使用にとどめましょう。また、メラトニン受容体作動薬である「ラメルテオン(ロゼレム)」という薬は、依存性が低く、自然な眠りを促す効果が期待できます。睡眠に悩んでいる方は、医師に相談してみましょう。
Q. 睡眠薬は毎日飲んでも大丈夫?
A. ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、毎日飲むと依存のリスクが高まります。必要な時に限定して使うようにしましょう。
2. 風邪に抗生物質は効かない!
風邪をひくと、すぐに抗生物質を求める方もいるかもしれません。「抗生物質=バイ菌をやっつける薬」というイメージがあるかもしれませんが、これは大きな誤解です。実は、風邪のほとんどはウイルスが原因です。抗生物質は、細菌には効果がありますが、ウイルスには全く効果がないのです。過去の報告では、風邪に対して抗生物質が無効であることが証明されています。それどころか、副作用のリスクを1.8倍も高めてしまう可能性があるという報告[2]もあります。
風邪をひいた時は、抗生物質ではなく、安静にして休むことが大切です。もし、症状が長引いたり、悪化するようなら、医療機関を受診しましょう。
Q. 抗生物質はどんな時に使うの?
A. 抗生物質は、細菌による感染症に効果があります。例えば、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌などが原因の感染症に使われます。
3. 痛みを一時的にごまかすだけ?痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)
「痛い時に飲む」というイメージが強い痛み止め。特にボルタレンのような非ステロイド性抗炎症薬は、効果が高い反面、注意が必要です。これらの薬を1ヶ月以上飲み続けると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化管出血、腎臓の機能低下、重篤な肝臓への影響(ボルタレン中毒)などのリスクが高まります[3]。
痛み止めは、あくまで痛みを一時的に抑えるためのもので、痛みの原因を根本的に治療するものではありません。痛み止めは、痛い時だけ、一時的に使うようにしましょう。痛みが続く場合は、原因を突き止め、適切な治療を受けることが大切です。
また、どうしても長期的に痛み止めを服用する必要がある場合は、アセトアミノフェン(カロナール)を第一選択薬として考慮しましょう。
Q. 痛み止めは毎日飲んでも大丈夫?
A. 非ステロイド性抗炎症薬は、毎日飲むと副作用のリスクが高まります。アセトアミノフェン(カロナール)は比較的安全ですが、長期服用が必要な場合は医師に相談しましょう。
4. 意外な落とし穴!芍薬甘草湯
足のつりや筋肉の痛みに使われる芍薬甘草湯。漢方薬だから安全だと思っていませんか?実は、芍薬甘草湯には、意外な副作用があるんです。この薬には、甘草という成分が多く含まれており、長期間服用すると、体内のカリウムという電解質が低下します[4]。カリウムは、心臓や筋肉の働きを正常に保つために重要な役割を担っています。カリウムが低下すると、不整脈や浮腫(むくみ)、手足が動かせなくなる周期性四肢麻痺を引き起こす可能性があります。重症の場合には、横紋筋融解症という危険な状態になることもあります。これは、筋肉が壊れてしまう病気で、腎臓に大きな負担がかかります。医学用語では「偽アルドステロン症」と呼ばれる病態です。
特に、60歳以上の方や、30日以上芍薬甘草湯を服用している方、他の漢方薬と併用している方は、注意が必要です。芍薬甘草湯は、こむら返りが起きた時や、夏場に足のつりが起きそうな時など、症状が出たときに頓服として使いましょう。芍薬甘草湯は、筋肉のけいれんを抑える効果が期待できますが、足のつりを予防する効果は限定的です。日頃から、バランスの良い食事や水分補給、適度な運動を心がけることが大切です。
Q. 芍薬甘草湯は毎日飲んでも大丈夫?
A. 芍薬甘草湯を毎日飲むと、カリウムが低下し、副作用のリスクが高まります。頓服として使うようにしましょう。
5. 眠気や体温調節の混乱も?市販の総合感冒薬
風邪をひいた時に、手軽に購入できる市販の総合感冒薬。しかし、これらの薬にも注意が必要です。市販の総合感冒薬には、抗ヒスタミン薬が含まれていることが多く、これが強い眠気を引き起こします。抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を抑える効果がありますが、脳内のヒスタミンという物質の働きをブロックするため、眠気を引き起こすことがあります。そのため、運転中や仕事中に服用すると危険です。また、長期的には認知機能に影響を与える可能性も指摘されています。
さらに、市販の感冒薬に含まれるアセトアミノフェンと、風邪の引き始めに飲む葛根湯を併用すると、体を温める作用と冷やす作用が同時に働き、体温調節が混乱し、大量の汗をかいたり、体温調節がうまくいかなくなることがあります。アセトアミノフェンは、比較的安全な薬ですが、過剰に摂取すると肝臓に負担をかけることがあります。また、アスピリンは、喘息発作を引き起こす可能性があるため、喘息持ちの方は特に注意が必要です。
市販薬を飲む際は、必ず成分を確認し、自身の体の状態に合わせて慎重に使いましょう。症状が改善しない場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか?今回ご紹介した5つの薬は、決して「使ってはいけない」というわけではありません。しかし、正しい知識を持ち、用法・用量を守って使うことが大切です。
改めて、今回の内容をまとめます。
1.睡眠薬(ベンゾジアゼピン系):依存性が高く、長期使用は避ける。必要な時だけ、一時的に使用する。
2.風邪に抗生物質:ウイルスには無効。風邪には効果がない。
3.痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬):長期使用は胃腸障害や腎臓障害などのリスクを高める。必要な時だけ、一時的に使用する。
4.芍薬甘草湯:カリウム低下による不整脈や麻痺のリスクがある。頓服として使用する。
5.市販の総合感冒薬:抗ヒスタミン薬による眠気や、アセトアミノフェンやアスピリンによる副作用に注意する。
これらの情報を参考に、お薬と賢く付き合い、健康な毎日を送りましょう。
今回のコラムが、少しでもあなたの健康のお役に立てたなら幸いです。
引用文献
- Schneider-Helmert D. Why low-dose benzodiazepine-dependent insomniacs can’t escape their sleeping pills. Acta Psychiatr Scand. 1988 Dec;78(6):706-11.
- Kenealy T, Arroll B. Antibiotics for the common cold and acute purulent rhinitis. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jun 4;2013(6):CD000247.
- Boelsterli UA. Diclofenac-induced liver injury: a paradigm of idiosyncratic drug toxicity. Toxicol Appl Pharmacol. 2003;192(3):307-22.
- Yamamoto K, et al. Shakuyaku-kanzo-to induces pseudoaldosteronism characterized by hypokalemia, rhabdomyolysis, metabolic alkalosis with respiratory compensation, and increased urinary cortisol levels. J Altern Complement Med. 2009;15(4):439-43.