テニス肘を放置すると手術が必要になる?危険な症状と見極め方
掲載日:2025.02.21
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、腕の使い過ぎによって発生する肘の炎症ですが、適切な治療をせずに放置すると慢性化し、手術が必要になるケースもあります。本記事では、テニス肘の症状や悪化の兆候、放置することによるリスク、適切な治療法について詳しく解説します。特に、どのような症状が手術のリスクを高めるのか、そして早期の対策方法についても紹介しますので、痛みを感じている方はぜひ参考にしてください。
1.テニス肘とは
2.テニス肘の症状と進行の特徴
3.テニス肘を放置するとどうなる?
4.手術が必要になるケースとは?判断基準と適応
5.テニス肘の治療方法
6.早期対策で手術を回避する方法
7.よくある質問
8.まとめ
9.引用文献
1. テニス肘とは
テニス肘は、正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」と呼ばれ、肘の外側に炎症が起こる疾患です。テニス選手に多く見られることから「テニス肘」と呼ばれていますが、実際にはスポーツをしていない人でも発症します。
原因は?
テニス肘は、主に手首や指を頻繁に使うことで、前腕の筋肉が過度に負荷を受け、肘の腱が炎症を起こすことで発症します。特に、以下のような人に多く見られます。
・テニス、ゴルフ、バドミントンなどのスポーツをする人
・パソコン作業や料理、家事などで手を頻繁に使う人
・重い荷物を持ち運ぶ仕事をしている人
・加齢により腱が弱くなった中高年層
2. テニス肘の症状と進行の特徴
テニス肘の症状は徐々に進行することが多く、以下のような特徴があります。症状に心当たりがないかチェックしてみましょう。
初期症状
テニス肘の初期には、肘の外側に軽い違和感を感じる程度ですが、次第に手を使う動作で痛みが出るようになります。例えば、コップを持つ、ドアノブを回すなどの些細な動作で痛みを感じるようになったら、注意が必要です。
【症状】
・肘の外側に軽い違和感や疲労感がある
・手を動かすとわずかに痛みを感じる
・腕を休めると痛みは消えることが多い
中期症状
中期に進行すると、痛みが継続し、安静にしていても違和感が続くことがあります。握力が弱くなり、物をしっかり持てなくなることもあります。
【症状】
・休んでも痛みが引きにくい
・手を使うと肘の外側に鋭い痛みを感じる
・安静時でも違和感を感じるようになる
重症化すると
重症化すると、肘の外側が腫れたり熱を持ったりし、手首や肘を動かすと痛みを感じて日常生活にも支障が出るようになります。さらに放置すると、腱が断裂する可能性もあり、手術が必要になることがあります。
【症状】
・安静時でも強い痛みが続く
・肘の外側が腫れたり、熱を持ったりする
・物を持つことが困難になる
・肘の可動域が制限される
3. 放置するとどうなる?
テニス肘を軽視して放置すると、慢性化して回復が困難になります。炎症が広がることで、手や肩にまで痛みが及ぶこともあります。最悪の場合、腱が損傷し、手術をしなければならない状態にまで進行することも考えられます。
また、長期間にわたって腕に負担をかけ続けると、骨や関節にも影響が出てしまい、変形性関節症になるリスクも高まります。そのため、早期に適切な対策を取ることが重要です。
4. 手術が必要になるケースとは?判断基準と適応
テニス肘の治療を6か月以上続けても改善が見られない場合、手術が検討されることがあります。日常生活の中で痛みが強くなり、腕を使うことが難しくなった場合も手術の適応となります。さらに、腱が完全に断裂している場合には、自然治癒が難しいため、外科的処置が必要になることがあります。
5. テニス肘の治療方法
テニス肘の治療には、いくつかの方法があります。
①保存療法
保存療法では、まず痛みを軽減することを目的に、肘を安静にし、アイシングを行います。また、ストレッチやリハビリテーションを取り入れることで、症状の改善を図ります。サポーターを使用して肘への負担を軽減することも有効[1]です。
②手術療法
手術療法が選択される場合、関節鏡視下手術で炎症のある組織を取り除いたり、腱の切除や縫合を行うことがあります。
③再生医療
近年注目されている治療法として、再生医療があります。テニス肘に効果のある再生医療の種類としては、多血小板血漿(PRP)治療があります。この治療法は、組織の修復を促進することで炎症を抑える効果があり、症状の改善が期待できます[2]。手術を回避したい人や、より自然な方法で回復を目指したい人に適しています。
▶ 再生医療についてはこちら
④体外衝撃波治療
体外衝撃波治療は、特殊な機械を用いて患部に衝撃波を当てることで、痛みを和らげ、血流を促進し、組織の回復を促す治療法です。1回10~20分と短時間の施術で、慢性的な痛みを改善する効果があり[3]、手術を避けたい人にとっては選択肢の一つとなります。
▶ 体外衝撃波治療についてはこちら
6.早期対策で手術を回避する方法
テニス肘を悪化させないためには、日頃から予防を意識することが大切です。まずは肘に負担をかけすぎないよう、簡単なストレッチをすることから始めてみましょう。また、患部をアイシングしたり、サポーターを使用して負担を軽減するなども有効な対策です。
7.よくある質問(FAQ)
Q1: テニスをしていなくてもテニス肘になりますか?
A1: はい。パソコン作業、料理、楽器演奏など、腕を酷使するすべての人が発症する可能性があります。
Q2: テニス肘は自然に治りますか?
A2: 軽症の場合は安静にすることで回復することもありますが、適切な治療をしないと悪化することがあります。
Q3: テニス肘のリハビリにはどのような運動が効果的ですか?
A3: 軽いストレッチや、手首を強化するトレーニングが効果的です。
Q4: 手術後の回復にはどのくらいの期間が必要ですか?
A4: 一般的に3〜6ヶ月ほどで完全回復するとされています。
8.まとめ
テニス肘は、初期のケアが重要な疾患です。軽症のうちに適切な治療を行えば、手術を回避することができます。しかし、放置してしまうことで腱の損傷が進行し、最終的には手術が必要になるケースもあります。痛みが続く場合は無理をせず、整形外科専門医を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
引用文献
- Struijs PAA, Kerkhoffs GMMJ, Assendelft WJJ, van Dijk CN. Conservative treatment of lateral epicondylitis: brace versus physical therapy or a combination of both? A randomized controlled trial. Am J Sports Med. 2004;32(2):462-469.
- Patrón-Román GM, Lara-Arias J, Vílchez-Cavazos F, Gutiérrez-de la O J, Torres-Rodríguez MG, Morales-Avalos R, Vega-Ruiz R, Acosta-Olivo CA (2022) Effectiveness of Lateral Elbow Tendinopathy Treatment Depends on Platelet-Rich Plasma Composition. J Clin Med 11:3784
- Karanasios S, Tsamasiotis GK, Michopoulos K, Sakellari V, Gioftsos G. Clinical effectiveness of shockwave therapy in lateral elbow tendinopathy: systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2021 Oct;35(10):1383-1398.