テニス肘の治し方|痛みを改善する簡単ストレッチを解説!
掲載日:2025.03.05
テニスをしていないのに「テニス肘」と診断されて驚いた経験はありませんか?
実は、テニス肘はスポーツをしない人にも発症することがあり、特にデスクワークや家事など、日常の動作が原因となることもあります。今回は、2024年の日本整形外科・肘関節学会のガイドラインをもとに、テニス肘の原因・症状・セルフチェック方法・治療法・効果的なストレッチを解説します。「肘の痛みが気になる」「簡単にできるストレッチを知りたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。
1.テニス肘とは?
2.テニス肘の原因・症状
3.自分でできるセルフチェック方法
4.テニス肘の治し方
5.医学的根拠のあるストレッチ方法
6.まとめ
1.テニス肘とは?
テニス肘は正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」と呼ばれます。
手首や指を伸ばす筋肉(伸筋群)の腱が肘の外側の骨(上腕骨外側上顆)に付着しており、この部分に負担がかかることで炎症や腱の変性が起こる病気です。
特に「短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)」という筋肉に炎症が起こりやすいとされています。
2.テニス肘の原因・症状
原因
テニスやバドミントンなどのラケット競技の反復動作が主な原因ですが、スポーツをしていなくても発症することがあります。
例えば、以下のような動作の繰り返しがテニス肘の原因になります。
●パソコン作業(マウス・キーボード操作)
●包丁を使う料理作業
●掃除や洗濯などの家事
●工具を使う作業(DIY・大工仕事)
症状
・肘の外側(上腕骨外側上顆)を押すと痛む
・手首を反らす(背屈)と肘の外側が痛む
・ペットボトルのキャップを開ける・ドアノブを回すと痛む
・物を持ち上げると痛みが出る
放置すると痛みが慢性化し、握力が低下することもあるので、早めの対処が重要です。
3.自分でできるセルフチェック方法
テニス肘かどうかを確認するための簡単なテストがあります。
① Thomsenテスト
1.腕を伸ばした状態で手首を反らす(背屈)
2.その動作に対して抵抗をかける
3.肘の外側に痛みが出るかどうかを確認
② 中指伸展テスト
1.肘を伸ばした状態で中指を持ち上げる
2.その動作に抵抗をかける
3.肘の外側に痛みが出る場合、テニス肘の可能性が高い
③ chairテスト(椅子持ち上げテスト)
1.肘を伸ばした状態で中指を持ち上げる
2.手のひらを下にして椅子を持ち上げる
3.その時に肘の外側が痛む場合、テニス肘の可能性あり
もしこれらのテストで痛みを感じたら、早めに整形外科を受診することをおすすめします。
4.テニス肘の治し方
テニス肘の治療には「保存療法」が基本となります。
推奨される治療法
- ストレッチ(運動療法)
- サポーター(装具療法)
- ステロイド注射(1回まで)
- 再生医療(PRP療法)
- 対外衝撃波治療(ESWT)
2024年のガイドラインでは、約9割の人が保存療法で改善すると報告されています。
その中でも、特に「ストレッチ(運動療法)」はエビデンスB(中程度の確信)で推奨されています。
5.医学的根拠のあるストレッチ方法
テニス肘の改善には、肘の外側に負担をかけている筋肉をストレッチすることが重要です。
ここでは、アメリカ整形外科学会が推奨するストレッチを2つ紹介します。
① 手首ストレッチ
▼やり方
- 肘を伸ばした状態で、手首を上(背屈)に反らす
- 反対の手で手首を押さえ、15秒間キープ
- 次に手首を下(掌屈)に倒し、15秒間キープ
- この動作を1日4回、週5回行う
効果:
伸筋群の柔軟性が向上し、肘への負担が軽減される
② ペットボトルエクササイズ
▼やり方
- 500mlのペットボトルを持ち、肘を曲げた状態にする
- ペットボトルを持ち上げるように手首を反らす(背屈)
- 1秒間持ち上げ、3秒かけてゆっくり戻す
- 30回×1セットを1日1回行う
効果:
筋肉の強化+肘周りの血流改善により、痛みの軽減につながる
6.まとめ
●テニス肘は、スポーツをしない人にも発症する可能性がある肘の炎症です。
●ペットボトルのキャップを開ける・ドアノブを回す時の痛みが特徴的で、放置すると慢性化することも。
●治療はストレッチ・サポーター・注射などの保存療法が基本で、手術が必要になることはほとんどありません。
●特にストレッチは、エビデンスに基づいた有効な治療法として推奨されています。
「肘が痛いな…」と感じたら、まずはセルフチェックをして、ストレッチで早めの対処を!