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半月板損傷を悪化させるトレーニング3選

掲載日:2024.07.24

皆さんは「膝の痛み」について考えたことはありますか?特にスポーツをしている方や、運動を楽しんでいる方にとって、膝の痛みは大きな問題ですよね。その中でも「半月板損傷」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。今回は、半月板損傷を悪化させるトレーニングについてお話しします。知らずに行っているトレーニングが、実は膝に大きな負担をかけているかもしれません。

————目次————
1.半月板って何?
2.半月板の解剖
3.半月板損傷を悪化させる運動
4.まとめ

半月板って何?


半月板」という言葉は耳にしたことがあると思いますが、実際の診療現場では、「そもそも半月板ってどこにあって、どんな役割をしているのですか?」と聞かれることが多いです。そこで、まずは半月板とは何かについて説明します。
半月板は、膝の関節の中にある「クッション」のようなものです。膝の関節は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)から成り立っていますが、これらの骨の間にあるのが半月板です。半月板は主に繊維性軟骨でできています。膝のレントゲンでは軟骨のため半月板は映りません。半月板がどのような状態であるかを調べるにはMRI検査が必要になります。

半月板の解剖


半月板の最も重要な役割の一つは、衝撃を吸収することです。ジャンプをして着地したときや、走っているときに膝にかかる衝撃はかなり大きいです(体重の3倍から7倍の負荷)。この衝撃を直接骨が受けると、骨や関節軟骨がダメージを受けてしまいますが、半月板がクッションの役割を果たすことで、衝撃を和らげ、膝の関節を保護しているのです。また、歩くとき、膝には体重の2~3倍の重さがかかりますが、膝にかかる体重を分散する役割があります。半月板は、この体重を効率よく分散させることで、膝の特定の部分に負担が集中しないようにし、膝の関節を守っています。半月板はとても重要な役割を果たしていますが、特にスポーツや激しい運動をしていると、大きな負担がかかり、損傷しやすくなります。半月板損傷の主な原因は、膝のねじれや強い衝撃です。例えば、サッカーやバスケットボールなどで急に方向転換をしたり、膝をひねったりしたときに損傷することが多いです。また、年齢を重ねると半月板が弱くなり、日常的な動作でも損傷することがあります。半月板損傷は、一度傷つくと自然に治ることが難しく、悪化すると立ち上がる時やしゃがむ時に膝に鋭い痛みやが引っ掛かる感じ、膝が曲がりきらない、伸びきらない、ひどくなると膝が動かなくなる(ロッキング)、など普段の生活にも問題が起こる症状が出ます。そのため、半月板損傷を抱えている方には、膝に負担のかからない正しいストレッチとトレーニング(筋トレ)によって膝まわりの筋肉をつける事が重要で、やっていはいけないことを続けていると、かえって症状を悪化させてしまうことになります。

半月板損傷を悪化させる運動

半月板損傷を悪化させる可能性のあるトレーニングを、具体的に3つ紹介します。それぞれのトレーニングがなぜ問題なのか、どのような点に注意すべきなのかを詳しく解説します。また、適切な代替トレーニングも提案しますので、皆さんが安心して運動を続けられるようにサポートしたいと思います。

1. 深屈曲スクワット

深屈曲スクワットは、膝を深く曲げてしゃがむスクワットのことです。このトレーニングは大腿四頭筋や殿筋を効果的に鍛えることができますが、半月板損傷を抱えている場合には大きなリスクがあります。膝の屈曲角度が大きくなると、半月板への圧力が増加し、損傷を悪化させる可能性が高まるからです。
代替案として、膝を曲げすぎないハーフスクワットやバランスボールを利用したウォールスクワットを試してみてください。これらの運動は膝の角度を90度以下に抑えるので、膝への負担を減らすことができます。

2. レッグエクステンション

レッグエクステンションは大腿四頭筋を鍛えるための一般的なトレーニングですが、半月板損傷を悪化させるリスクがあります。この運動では膝関節に強い圧力がかかり、半月板にストレスが集中します。特に重いウェイトを使用する場合、そのリスクはさらに高まります。
代替案として、大腿四頭筋を鍛える他の方法を試してみてください。例えば、膝を屈伸せずに行うストレートレッグレイズやヒップスラストなどが効果的です。これらの運動は膝への直接的な負担を減らしながらも、効果的に筋肉を鍛えることができます。

3. うさぎ跳び

うさぎ跳びは、膝を曲げた状態で連続してジャンプする昭和時代のトレーニングで、膝関節にも股関節にもデメリットが多い運動になります。特に膝に対する衝撃が大きく、半月板損傷を悪化させる危険性があります。膝に繰り返しかかる負荷は、損傷した半月板をさらに傷つけることになります。
代替案として、ジャンプの代わりにエアロバイクや軽い傾斜を登るランニングを取り入れてみてください。これらの運動は膝への衝撃を軽減しつつ、心肺機能を高めることができます。

まとめ


今回紹介した3つのトレーニングは、半月板損傷を悪化させる危険があります。深屈曲スクワット、うさぎ跳び、レッグエクステンションは、それぞれ膝に大きな負担をかけるため、半月板損傷と診断された場合はこれらの運動は避けて、半月板に負担のかからないトレーニングを続けましょう。半月板損傷でお悩みの方はMRI検査が必要です。中山クリニックではMRIの予約枠を拡大しましたので、まずは整形外科専門医の受診をおすすめします。

 
膝関節の症例について
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このコラムは約5000字の読みやすい内容にまとめられており、一般の方々にとって役立つ情報を提供しています。中山クリニックの患者様や一般の方々に向けてお役立ていただければ幸いです。