メタボリックシンドロームとは?原因と対策を管理栄養士が解説
掲載日:2024.12.06
テレビや雑誌などで「メタボリックシンドローム(メタボ)」という言葉を耳にする機会が増えました。「メタボ=太っている人」と認識していませんか?しかし、メタボリックシンドロームは単に見た目が太っているというだけの問題ではありません。今回は、メタボリックシンドロームとはどのような状態なのか、また、なぜそれが危険だと言われているのかについて解説していきます。
目次
1. メタボリックシンドロームとは?
2. メタボの診断基準は?
3. メタボの原因は?
4. メタボは何が怖いの?
5. メタボをセルフチェック
6. 5つの簡単カロリー対策!
7. おやつは食べても大丈夫!
8. まとめ
9. よくある質問
1.メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドロームは、「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、内臓脂肪型の肥満に該当し、さらに血圧、血糖値、脂質代謝に異常が見られる状態を指します。たとえ治療が必要となるほど数値が高くなくても、動脈硬化が進行しやすくなり、心臓病や脳卒中などの重大な疾患を引き起こすリスクが高まります。
重要なのは、単に太っている、あるいは腹囲が大きいというだけではメタボリックシンドロームと判断されないことです。
標準的な体型 | 内臓脂肪型肥満 |
2.メタボリックシンドロームの診断基準は?
もし手元に血液検査の結果がある場合は、以下の項目をチェックしてみましょう!
あなたはいくつあてはまりましたか?
『私、やばいかも、、、』と感じた方は、特定保健指導を受けることを検討してみてください。
3.メタボリックシンドロームの原因は?
メタボリックシンドロームの主な原因は、「乱れた生活習慣」にあります。
以下に挙げるような5つの要素は内臓脂肪を溜まりやすくさせ、メタボリックシンドロームの発症リスクを高めます。
①不健康な食生活
不適切な食生活は脂肪の蓄積を促す要因となります。具体的には、過食や高糖質の食品を多く摂取することが挙げられます。過剰な食事量はカロリーの過剰摂取につながり、脂肪の蓄積を促進します。また、糖分の多い食品を摂りすぎると、余分な糖質が脂肪に変換されやすくなります。
②アルコール
たしなむ程度であればそれほど問題はありませんが、アルコールの取りすぎはメタボリックシンドローム発症の要因です。アルコールは、内臓脂肪をつけやすくする作用のある「ステロイド」というホルモンを分泌させると言われています。そのため、アルコールを摂りすぎると内臓脂肪の量が徐々に増え、ビール腹の要因になります。
③喫煙
喫煙も、メタボリックシンドロームのリスクを高める習慣の一つです。喫煙は血管内皮にダメージを与えることで、中性脂肪を増加させ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を低下させるため、メタボリックシンドロームを引き起こしやすくなります。さらに、インスリン抵抗性を悪化させたり、交感神経を刺激して血圧を上昇させたりすることも、喫煙がメタボリックシンドロームのリスクを高める要因です。
④運動不足
運動不足は内臓脂肪の蓄積を促し、メタボリックシンドロームを発症させる要因の一つです。運動量の減少に伴い、カロリー消費量や基礎代謝が低下するため、摂取エネルギーが消費しきれず、体に蓄積されやすくなります。その結果、太りやすい体質になり、内臓脂肪や皮下脂肪が溜まりやすくなることで、メタボリックシンドロームのリスクがさらに高まります。
⑤睡眠不足
睡眠不足が続く状態は、喫煙習慣と同様にインスリン抵抗性を悪化させ、交感神経の緊張を高めるため、メタボリックシンドロームのリスクを高めます。さらに、睡眠不足は食欲を刺激するホルモン(グレリン)の分泌を増加させ、食欲を抑制するホルモン(レプチン)の分泌を低下させます。その結果、日中の食欲が増進して食べ過ぎを招き、摂取カロリーが過剰になることで太りやすくなります。
これらの要因は相互に影響し合い、内臓脂肪を蓄積させやすい状態を作り出します。その結果、メタボリックシンドロームの発症リスクが高まります。
4.メタボリックシンドロームは何が怖いの?
メタボリックシンドロームが怖いのは、自覚症状がほとんどないことです。「肥満に加えて高血圧や高血糖、脂質代謝異常など複数の要因が重なっているから、さまざまな症状が現れるだろう」と誤解していませんか?
実は、メタボリックシンドロームでは症状がほとんど現れないことが多く、血液検査の数値が大きく悪化していない場合も少なくありません。そのため、危険な状態にあることに気づかず、放置してしまう人が多いのです。気づかないうちに動脈硬化が進行し、ある日突然、心臓発作や脳卒中といった重大な疾患を発症することがあります。
5.メタボリックシンドロームをセルフチャック!
自分の体重が適正かどうか、また1日にどのくらいのカロリーを摂取しても良いかご存知ですか?まずは、「適正体重」と「推定エネルギー必要量」を確認しましょう!
①「BMI」で肥満度check!
BMIとは、「Body Mass Index」の略で、体重と身長のバランスを評価し、肥満度を判定する国際的な指標です。日本肥満学会では、BMIが18.5以上25.0未満を「普通体重」と定義し、それ以下を「低体重」、それ以上を「肥満」としています。
そのため、健康保険の被保険者が受ける健康診断では、BMIが25以上の場合、病気になる前に改善を促すための特定保健指導が通知されます。
②カロリーcheck!
1日に必要なカロリー量は「推定エネルギー必要量」と呼ばれます。
以下の表は、デスクワーク中心の仕事をしている方を対象に、職場内での移動や立ち仕事、通勤、家事、軽いスポーツなどを行っている場合の、日本人の平均的な体重を基にした推定エネルギー必要量を示したものです。
自分の性別と年齢を基に、1日に必要なカロリー量を確認しましょう!
いかがでしたか?ご自身の目安を見つけることができたでしょうか。これらは、一般的に用いられる肥満度の基準や、1日に必要なカロリー量の目安です。体重の変化を把握することで、健康状態をチェックしやすくなり、適切な生活習慣を維持するためのきっかけにもなります。
6.5つの簡単カロリー対策!
「ご飯は〇カロリー。ハンバーグは…。唐揚げは我慢して、やっぱり豆腐…?」
カロリーを気にするあまり、食事が楽しめなくなっていませんか?そんな方でも大丈夫!日々の生活の中で手軽に取り入れられる、簡単な食事コントロールの方法を5つご紹介します。
①ゆっくり・たっぷり噛む
食事の際にゆっくり噛むことを意識していますか? 噛む回数が増えると、脳の満腹中枢がしっかりと刺激されるため、食事量が少なくても満足感を得やすくなります。さらに、よく噛むことで消化吸収がスムーズになり、胃腸への負担も軽減されます。
②食後すぐの睡眠や運動はNG!
食後は胃や腸が食べたものを消化するためにフル稼働している時間帯です。このタイミングで睡眠をとったり、激しい運動をすると、内臓の働きが鈍くなり、消化が遅れてしまうことがあります。
③朝ごはんは必ず食べて!
夜寝ている間にも、体はエネルギーを消費しています。そのため、朝起きたときに頭がぼんやりしているのは、脳が「飢餓状態」に陥っているからです。このタイミングで朝食を摂ることは、1日の活動をスタートするためにとても重要です。朝食を抜いてしまうと、体脂肪を溜め込みやすくなり肝臓でコレステロールが増加し、結果的に肥満につながってしまいます。
④深夜の食事は避けましょう!
言うまでもありませんが、夜遅くに食事をすると脂肪が蓄積しやすくなります。消化が遅れることで、朝まで満腹感が続き、その結果、朝食を抜いてしまうことに繋がります。このような悪循環が、肥満の原因につながります。
⑤主菜に迷ったら「赤・青・皮なし」を選びましょう!
マグロの赤身や青魚、豚肉・牛肉ならヒレ肉やモモ肉、鶏肉ならササミやムネ肉(皮なし)など、脂肪分が少ない部位がおすすめです。
調理法は、刺身や焼く、煮る、蒸すなど、油を使わない方法を選ぶと、さらにヘルシーに仕上がります。
7.おやつは食べても大丈夫!
ダイエット中の間食は大敵と思われがちですが、実は工夫次第でうまく取り入れることができます。間食を楽しむときは、選び方や食べ方を工夫しましょう。一日の摂取カロリーを計算するときに、あらかじめおやつ分のカロリーを確保しておくと、安心して食べることができますよ!
菓子パンは糖質と脂質が多く含まれています。たとえば、メロンパン1個は約400kcalで、お茶碗山盛りのごはん2杯分に相当します。
500mlのペットボトルではスティックシュガー約19本分の糖分が含まれています。
間食にはアーモンドやナッツ、無糖ヨーグルトなどがおすすめです。これらは脂肪と糖質が少なく、カロリーを抑えつつ、普段の食事では不足しがちな栄養素を摂取できます。
8.まとめ:管理栄養士に相談してみよう!
健康的な生活を送るための最初の一歩は、食生活を見直すことから始まります。
しかし、
『どこから始めたらいいかわからない』
『一人で始めるのは難しい』
と感じる方も多いのではないでしょうか?
そんな時は、明石市の中山クリニックの栄養相談をぜひご利用ください!
当クリニックでは、経験豊富な管理栄養士が一人ひとりの健康状態やライフスタイルに合わせた個別プランを作成し、マンツーマンで丁寧にサポートいたします。
あなたの健康目標を達成するための最初の一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか?
9.よくある質問
メタボリックシンドロームは何人に1人ですか?
2004年に厚生労働省が実施した調査によると、メタボリックシンドロームの患者数は成人で約2,700万人(予備軍を含む)、40歳以上では約1,960万人(予備軍を含む)に達するとされています。この割合は、男性では2人に1人、女性では5人に1人です。
管理栄養士に相談するメリットは何ですか?
管理栄養士は食と栄養に関する専門知識を持つ国家資格者です。だからこそ、個々の体質や生活習慣に合わせた無理のないプランを提供し、健康な体作りをサポートできると言えます。
栄養指導ではどんな相談ができますか?
日常生活の中での食事や栄養に関する疑問や悩みを気軽に相談できる場です。例えば、ダイエットを始めたいがどのような食事が適切か、メタボリックシンドロームの予防にはどのような食生活が望ましいか、といった質問に対して、管理栄養士がご相談に応じます。
メタボリックシンドロームと肥満症の違いは?
肥満症が体重増加を指すのに対し、メタボリックシンドロームでは内臓脂肪の蓄積と健康への悪影響に焦点を当てている点です。
メタボリックシンドロームは何歳から多いですか?
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、年齢を問わず注意が必要ですが、特に40歳以上で発症率が高くなる傾向があります。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査報告」によると、20歳以上でメタボリックシンドロームが強く疑われる人の割合は、男性で28.2%、女性で10.3%です。
さらに、予備群と考えられる人の割合は、男性で23.8%、女性で7.2%となっています。