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意外と知らないトマトの栄養素とその効果!【管理栄養士監修】

掲載日:2025.03.18(最終更新日:2025.04.07)

トマトは、食卓に欠かせない身近な食材ですが、その栄養価について詳しく知っていますか? 真っ赤な色が特徴のトマトには、抗酸化作用で知られる「リコピン」のほか、ビタミンCやカリウム、食物繊維など健康維持に役立つ栄養素がたっぷり含まれています。本コラムでは、トマトの栄養素について管理栄養士の視点で詳しく解説していきます。

トマトの栄養

1.トマトについての基礎知識

トマトとは?
トマト(学名:Solanum lycopersicum)は、ナス科に属する果菜で、実は植物学的には「果実」に分類されます。原産地は南アメリカのアンデス山脈地域(現在のペルーやエクアドル周辺)とされ、16世紀頃にヨーロッパに伝わり、世界中で広く栽培されるようになりました。

トマトが赤い理由は栄養素リコピン!

トマトのリコピン
トマトが赤くなる主な要因は、色素成分のひとつである「リコピン(lycopene)」です。リコピンはカロテノイドの一種で、強力な抗酸化作用を持っていることでも知られています。トマトが成長し、熟す過程で生合成されるこのリコピンが、私たちが目にする鮮やかな赤色を作り出します。

2.トマトの栄養素とその効果

トマトの栄養価はリコピンだけではありません。トマト1個の可食部約100gから摂取できる主な栄養素は以下の通りです。タンパク質、脂質、炭水化物などのエネルギー産生栄養素のほか、幅広いビタミンやミネラルが含まれていることが分かります。

食品成分




























C
β



トマト/生(可食部100g) 20 0.7 0.1 4.7 1.0 210 9 0.2 22 15 540
単位 kcal g g g g mg mg mg mg

参照日:2025年3月5日 文部科学省『食品成分データベース』
 
以下に、トマトに特に豊富に含まれている主な栄養素の効果を挙げていきます。

●リコピン

リコピンは強力な抗酸化作用を持ち、体内での酸化ストレスの軽減に寄与することが報告されています。この作用は動脈硬化やがんなどの慢性疾患リスクの軽減にも関係している可能性があります[1]

●ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンの生成を促進し、肌のハリや弾力を保つ働きをします[2]。抗酸化作用も期待できるため、生活習慣病の予防を意識する上でも重要な栄養素です。

●ビタミンA(β-カロテン)

体内で必要に応じてビタミンAへと変換されます。ビタミンAは視力維持や皮膚・粘膜の健康を保つ上で大切な役割を果たしています[3]。また、抗酸化作用によって細胞の酸化ストレスを軽減する働きもあります。

●ビタミンK

血液の凝固や骨の健康に関わるビタミンKも、トマトに含まれる栄養素のひとつです。カルシウムが骨に定着する際に必要なタンパク質を活性化させる効果があります。

●カリウム

体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、血圧を調整する働きがあります。トマトには比較的豊富に含まれているため、カリウム摂取源として優秀な食材です。

3.トマトの栄養素を他の野菜と比較!

ビタミンC

トマト100gあたりのビタミンC量の比較表

たんぱく質

トマト100gあたりのたんぱく質量の比較表

鉄分

トマト100gあたりの鉄分量の比較表

食物繊維

トマト100gあたりの食物繊維量の比較表

POINT

トマトはビタミンC、食物繊維、鉄分、タンパク質など幅広い栄養素を含んでいますが、どれも豊富というわけではなく、全体的に含有量は控えめです。みずみずしく爽やかな風味が特徴の野菜のため、サラダなどで他の野菜と組み合わせて取り入れるとよいでしょう。

4.管理栄養士がトマトに注目する理由

①幅広く栄養素を摂取できる

例えば、サプリメントには特定の栄養素を高濃度で摂取できる利点がありますが、単一成分や狙いを定めた成分に特化しているものが多いです。一方、トマトにはビタミンCやビタミンA(主にβ-カロテン)、カリウム、食物繊維などの多様な栄養素が含まれており、さらにリコピンなどの抗酸化物質が潤沢に含まれています。

②ダイエット中の栄養補給に効果的!

「食事制限をしてるのに痩せない…。」という経験はありませんか?実は食事制限は基礎代謝の低下筋肉量の減少を招き、結果的に痩せにくい体を作ってしまうのです。トマトは幅広く栄養素を摂取できるため、ダイエット中に不足しがちな栄養素を気軽に摂取できる最適な食材の一つです。

食べて痩せる!ダイエットに最適な食材10選【管理栄養士監修】

③美肌・アンチエイジング効果が期待できる

トマトに含まれるビタミンCやリコピンなどの抗酸化成分は、肌の老化を促進する活性酸素を除去し、コラーゲンの生成をサポートする働きがあります。紫外線やストレス、喫煙などで活性酸素が増えやすい現代において、抗酸化作用を持つ食品を日常的に摂取することはアンチエイジングの観点からも非常に重要です。

5.一日にどれくらい食べればいい?摂取目安と実践例

トマト 摂取量の目安
トマトは栄養価が高く、健康維持に役立つ食材ですが、一日にどれくらい食べればよいのでしょうか?トマトに含まれる代表的な栄養素「リコピン」の1日あたりの推奨摂取量は15~20mgとされています[4]。この量を摂取するためには、以下のような食べ方が目安となります。
 

・生のトマト:中玉サイズなら2個

・ミニトマト:10~15個

・トマトジュース:コップ1杯(約200ml)

・ケチャップ:大さじ4杯程度

POINT

日々の食事に取り入れる際は、サラダやスープに加えるほか、ジュースやソースの形で活用すると無理なく摂取できます。例えば、朝食でトマトジュースを飲み、昼食や夕食にトマトを使った料理を取り入れることで、無理なく必要量を補うことが可能です。

6.トマトの選び方・保存方法のポイント

せっかく栄養価の高いトマトを選んでも、保存方法が適切でなければ味や栄養を損ねてしまう可能性があります。ここでは、より良いトマト選びと保存方法のコツを紹介します。

良質なトマトの見分け方

トマトの選び方

●色:全体に均一で鮮やかな色味を帯びているものが良品です。赤なら赤、黄色なら黄色がしっかり出ていると完熟度が高い傾向があります。

●ヘタ:ピンと張りがあり、緑色が鮮やかなものを選びましょう。しおれたり変色していると鮮度が落ちている可能性があります。

●感触:やや弾力があるくらいが食べごろの目安です。完熟トマトは指で軽く押した際にほんの少し弾力を感じるものが多いです。硬すぎる場合は未熟、柔らかすぎる場合は熟しすぎと判断できます。

保存方法

トマトの保管方法

●常温保存:完熟状態であれば、冷蔵庫に入れると風味が落ちる場合があります。夏場など気温が高すぎる場合を除き、ヘタを下にして涼しい場所で保管するのが理想です。

●冷蔵保存:熟度が進んでおらず、すぐに使わない場合は冷蔵庫の野菜室で保存します。ただし、低温障害を避けるため、新聞紙などに包んで温度変化を和らげる工夫をすると良いでしょう。

●冷凍保存:ソースにする前提や後で煮込み料理に使う予定がある場合は、丸ごと冷凍も可能です。皮を湯むきする手間を省くこともでき、トマトの甘みを感じやすくなるメリットもあります。

7.まとめ

まとめ
トマトはリコピンをはじめ、ビタミンC、カリウム、食物繊維など多彩な栄養素を一度に摂取できる便利な食材です。健康維持や美容、ダイエット面で役立つだけでなく、選び方や保存方法を工夫することで風味や栄養価を最大限活かすことができます。日常的に取り入れやすい食材ですので、目標摂取量を意識しながら継続的な摂取を心がけてみるのも良いでしょう。

8.管理栄養士に相談してみよう!

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栄養相談・食事療法について

9.よくある質問

トマトジュースと生のトマト、どちらが栄養価が高い?

どちらが「高い」というよりも、含まれる栄養成分のバランスや吸収率が異なります。トマトジュースの方がリコピンの吸収率が高い場合がありますが、塩分が添加されていないものを選ぶのがおすすめです。生のトマトはビタミンCや酵素が豊富に摂取できる利点があります。

加熱するとビタミンCはどれくらい失われますか?

一般的には加熱時間や調理温度によって異なりますが、茹でたり煮込んだりすると2~5割程度失われるとされています。短時間の加熱や蒸し調理などを行うことで、損失を最小限に抑えることができます。

ミニトマトと大玉トマトの栄養価に違いはありますか?

基本的な栄養成分は大きくは変わりませんが、品種や熟度によって含有量に差があります。ミニトマトは皮ごと食べやすく、ビタミンCなどを効果的に摂取しやすいメリットがあります。

ダイエット中にトマトを食べるときの注意点はありますか?

トマト自体は低カロリーで栄養価が高いので、ダイエット中に活用しやすい食材です。ただし、トマトソースやトマトジュースには塩分や砂糖が多めに含まれる場合があるので、表示を確認して摂取量を調整しましょう。

トマトの酸味が苦手なのですが、どうすれば食べやすくなりますか?

酸味を和らげるには、加熱調理や甘みのある調味料(はちみつやみりんなど)を組み合わせると良いでしょう。また、チーズや牛乳などの乳製品を合わせるとまろやかな風味になります。

トマトジュースは栄養面でどう評価できますか?

トマトジュースはリコピンを手軽に摂取できる方法です。ただし、塩分や添加物が含まれるものもあるため、無塩のものや添加物の少ない商品を選ぶことをおすすめします。

引用文献

  1. Rao, A. V., & Agarwal, S. (2000). Role of lycopene as antioxidant carotenoid in the prevention of chronic diseases: A review. Nutrition Research, 19(2), 305–323.
  2. Pullar, J. M., Carr, A. C., & Vissers, M. C. M. (2017). The roles of vitamin C in skin health. Nutrients, 9(8), 866.
  3. Tanumihardjo, S. A. (2013). Vitamin A: biomarkers of nutrition for development. The American Journal of Clinical Nutrition, 98(2), 658S–665S.
  4. Arab, L., & Steck, S. (2000). Lycopene and cardiovascular disease. The American Journal of Clinical Nutrition, 71(6), 1691S–1695S.