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知らなきゃ損!ピーマンの栄養素と効果を解説【管理栄養士監修】

掲載日:2025.04.01(最終更新日:2025.04.07)

ピーマンは料理の彩りだけでなく、健康にも嬉しい効果をもたらす野菜です。「ピーマン=ビタミンCが多い」という印象はあるかもしれませんが、実はそれだけではありません。免疫力向上や美容、疲労回復など、私たちの体にさまざまな恩恵をもたらしてくれる栄養素がたっぷり詰まっています。本記事では、管理栄養士の視点から、ピーマンの栄養素や健康効果について詳しく解説します!

ピーマン

1.ピーマンの特徴は?

ピーマンの特徴
ピーマンは、パプリカや、しし唐辛子と同じナス科トウガラシ属の野菜です。コロンブスによって中南米原産の唐辛子がヨーロッパに伝わり、品種改良されて誕生したと言われています。一般的なピーマン(青ピーマン)は、熟す前に収穫されるため鮮やかな緑色をしているのが特徴です。

2.ピーマンの色ごとの栄養価の違い

ピーマンの色ごとの違い
ピーマンは緑・赤・黄・オレンジとさまざまな色があり、それぞれ異なる栄養価を持っています。一般的に、熟すにつれて甘みが増し、ビタミンCやβカロテン(体内でビタミンAに変換される)の含有量も変化します。特に赤ピーマンはβカロテンが豊富であり、強い抗酸化作用が期待できます[2]また、黄ピーマンやオレンジピーマンもビタミンCが多く含まれ、栄養価が高いことが特徴です。

ピーマン栄養成分表





























C
β



緑ピーマン/生(可食部100g) 20 0.9 0.2 2.3 190 11 11 0.4 26 76 400
赤ピーマン/生(可食部100g) 28 1.0 0.2 1.6 210 7 10 0.4 68 170 940
黄ピーマン/生(可食部100g) 28 0.8 0.2 1.3 200 8 10 0.3 54 150 160
オレンジピーマン/生(可食部100g) 19 0.9 0.3 230 5 10 0.3 53 150 420
単位 kcal g g g mg mg mg mg mg

参照日:2025年3月19日 文部科学省『食品成分データベース』

●POINT

βカロテンは体内でビタミンAに変換されるため、肌の健康維持に欠かせない栄養素です。ビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、シミやくすみの予防に役立ちます。

3.ピーマンの栄養は本当に少ない?

「ピーマンは栄養がない」といわれることがありますが、これは誤解です。確かに他の緑黄色野菜に比べてビタミンCをはじめとした栄養が少ないと思われがちですが、実は抗酸化作用をもつビタミンCやビタミンE、食物繊維などがバランス良く含まれています。ここでピーマンの栄養を他の野菜とも比較してみましょう。
ピーマン栄養成分表

●POINT

ピーマンは100gあたり20kcalと低カロリーでありながら、ビタミンCや食物繊維を比較的豊富に含んでいます。また、鉄分やβカロテンなどの栄養素もバランスよく含まれています。

4.ピーマンの栄養素とその働き

ピーマンの栄養とその効果

ピーマンは、低カロリーでありながら栄養豊富な野菜です。100gあたりのカロリーは約22kcalで、水分が90%以上を占めますが、幅広く栄養素を含んでいます。栄養効果については以下が挙げられます。

●クエルシトリン:

ピーマンの苦みの成分です。脂肪細胞への分化過程に影響を与え、脂肪細胞への分化を抑制する可能性が報告されています。

●ビタミンC:

抗酸化作用があり、活性酸素(フリーラジカル)による細胞の酸化ダメージを軽減する働きがあります。これにより、老化の進行や生活習慣病のリスクを低減する可能性が示唆されています。

●β-カロテン:

体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚のターンオーバー(細胞の新陳代謝)をサポートする働きがあります。

●カリウム:

カリウムは細胞内外の水分やイオンのバランスを調整する働きがあります。細胞の浸透圧を正常に保つことで、むくみや脱水、電解質バランスの乱れを起こしにくくします。

●食物繊維:

便のかさ増しや腸のぜん動運動を促進し、便秘の改善や腸内環境の整備に寄与します。

5.ピーマン特有の苦味成分の正体

ピーマンの苦み成分を分析している様子
ピーマンの苦味成分(渋み)には、クエルシトリンピラジンなどが関係しています。これらの成分には抗酸化作用があり[3,4]、体内の活性酸素を抑える働きが期待できます。

クエルシトリンの抗酸化作用

クエルシトリンは、フラボノイドの一種であり、クエルセチンにラムノース(糖)が結合した配糖体です。クエルセチンは強い抗酸化作用を持つことで知られています。
 

  • ●活性酸素の除去:クエルシトリンはフリーラジカル(活性酵素の一種)を捕捉し、細胞の酸化ストレスを軽減する作用があります。特に、脂質過酸化を抑制することで、細胞膜のダメージを防ぐ効果が報告されています。
  • ●抗炎症作用:抗酸化作用と関連して、炎症性サイトカインの産生を抑制する働きがあり、慢性的な炎症のリスクを低減すると考えられています。

ピラジンの抗酸化作用

一部の研究では、ピラジン類にも抗酸化作用があるとされていますが、クエルシトリンやビタミンCほど強いものではないと考えられています。ピーマンに含まれる他の抗酸化成分(ビタミンC、カロテノイドなど)と相互作用することで、間接的に酸化ストレスを抑える可能性が指摘されています。

6.日常的なピーマン摂取量の目安

ピーマン摂取量
厚生労働省が推奨する野菜の摂取量は1日350gですが、そのうち緑黄色野菜は120g以上が理想とされます。ピーマン1個は約30~40gほどですので、1日に2~3個程度のピーマンを他の野菜と組み合わせて摂取することで[5]バランスよく栄養を取り入れられます。無理に大量摂取する必要はありませんが、定期的に食卓に取り入れることでビタミンや食物繊維をこまめに補給できます。

過剰摂取によるリスクや注意点

腎機能が低下している方医師からカリウム制限を受けている方は、カリウムを多く含むピーマンを大量に摂取することで高カリウム血症のリスクを高める可能性があるため注意が必要です[6]

7.ピーマンの旬と鮮度の見分け方

旬のピーマン畑の様子
ピーマンの旬は夏の時期(6月~9月)です。特に7月から8月が最も美味しい時期とされています。旬の時期のピーマンは肉厚で甘みが強く、香りも豊かなのが特徴です。

ピーマンの見分け方

鮮度を見分けるポイントは、皮に張りとツヤがあり、ヘタがしおれていないこと。触った時にずっしりと重みを感じるものは、みずみずしく苦味成分もほどよく残っています。逆に、皮がしわっぽく柔らかいものは鮮度が落ちているサインで、調理時の食感や風味が損なわれやすいので注意が必要です。

8.ピーマンの保存方法:冷蔵と冷凍の注意点

ピーマンを冷蔵保存する様子
保存する際は、乾燥を防ぐためにポリ袋やラップで包み、冷蔵庫の野菜室に入れておくのが基本です。冷凍保存したい場合は、種とヘタを取り除き、使いやすい大きさにカットしてから冷凍庫へ入れましょう。冷凍すると食感はやや落ちますが、炒め物やスープ、カレーなどの加熱調理には十分活用できます。

●POINT

一度に大量に購入した場合は、先に下茹でや油通しをしてから冷凍しておくと、より時短につながり、忙しい時の調理に重宝するでしょう。

9.まとめ

まとめ
ピーマンは、ビタミンCやβカロテンをはじめとする抗酸化成分や食物繊維など、健康と美容の両面で役立つ栄養を豊富に含んだ緑黄色野菜です。特に赤や黄色、オレンジなどのカラフルなピーマンは、色ごとに栄養価や風味が異なるため、日常の食卓に取り入れることで飽きのこないバリエーションを楽しめます。日々の食生活にピーマンを上手に取り入れ、健康維持と美容ケアの両立を目指してみましょう。

10.管理栄養士に相談してみよう!

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栄養相談・食事療法について

11.よくある質問

ピーマンには本当に栄養が少ないのですか?

一般には「栄養がない」と誤解されがちですが、ビタミンCやβカロテン、食物繊維などがバランス良く含まれています。実は豊富な栄養を効率的に摂取できる野菜の一つです。

ピーマンに含まれるビタミンCの特徴は何ですか?

加熱によって壊れにくいことが特徴です。これは、ピーマンに含まれるビタミンPや果肉の厚さ、組織のしっかりさなどが理由です。

緑・赤・黄色・オレンジのピーマンは、栄養にどのような違いがありますか?

一般的に赤や黄色、オレンジなどカラーピーマンは緑ピーマンよりも熟度が高く、β-カロテンやビタミンCの含有量が多い傾向にあります。また、苦味が少なく甘みが強いため、ピーマンが苦手な方でも食べやすいといわれています。

ピーマンに含まれる苦味成分にはどんな効果があるのですか?

クエルシトリンには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を抑える働きが期待できます。

ピーマンは生で食べるのと加熱して食べるの、どちらが栄養を効率的に摂れますか?

ビタミンCは壊れにくいので生でも加熱でも摂取できますが、油と一緒に調理すると脂溶性のβカロテンなどを効率的に吸収しやすくなるため、炒め物やソテーなどもおすすめです。

1日にどのくらいのピーマンを食べれば健康維持に役立ちますか?

厚生労働省の野菜摂取目安(350g/日)のうち緑黄色野菜は120g以上が理想です。ピーマン1個約30~40gなので、2~3個を他の野菜と組み合わせると良いでしょう。

ピーマンの苦味を和らげる方法はありますか?

縦に切るより横に切る、ピーマンの筋を取り除く、下茹でや油通しをしてから調理するなどの工夫で苦味が和らぎます。

赤ピーマンとパプリカは何が違うのですか?

赤ピーマンは青ピーマンが熟して赤くなったものですが、パプリカは品種が異なります。パプリカは肉厚で甘みが強く、ビタミンCも多い特徴があります。

ピーマンを冷凍保存すると栄養価は落ちますか?

冷凍によるビタミンCの減少は少なく、長期保存が可能です。調理法によっては食感が落ちる場合もありますが、炒め物やスープには十分活用できます。

ピーマンの旬はいつですか?

6~9月頃が旬で、特に7~8月が最も美味しい時期です。旬のピーマンは肉厚で甘みが強く、栄養価も高い傾向があります。

カリウムを制限している人はピーマンを食べても大丈夫でしょうか?

腎機能が低下している方や医師からカリウム制限を受けている方は、大量摂取を避ける必要があります。医師・管理栄養士へ相談するのがおすすめです。

ビタミンAとβカロテンの違いは何ですか?ピーマンにはどちらが多いのでしょうか?

βカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換される成分です。ピーマンにはβカロテンが含まれ、特に赤ピーマンでより多く摂取できます。

美容目的でピーマンを食べるのは効果がありますか?

ビタミンCやβカロテン、苦味成分(クエルシトリン)の抗酸化作用が、肌へのダメージ軽減やターンオーバーをサポートします。

ピーマンのビタミンCは他の緑黄色野菜と比べて多いのですか?

トマトやナスと比較すると多めですが、ブロッコリーなどと同程度からやや少ないくらいです。とはいえ加熱に強く失われにくい分、有利な面もあります。

引用文献

  1. 文部科学省.『日本食品標準成分表 2020年版(八訂)』
  2. Ramesh A, et al. Comparative antioxidant activities of capsicum species. J Food Biochem. 2010.
  3. Park Y, et al. Quercitrin protects neuronal cells… Biol Pharm Bull. 2007.
  4. Hwang IG, et al. Effect of cooking methods on the antioxidant activity… Food Sci Biotechnol. 2012.
  5. 厚生労働省.『日本人の食事摂取基準(2020年版)』
  6. National Kidney Foundation. Potassium and Your CKD Diet.