【管理栄養士監修】きのこで本当に痩せるの?栄養と効果を解説
掲載日:2025.05.23(最終更新日:2025.05.23)
「ダイエット中でもしっかり食べたい!」
そんなあなたに注目してほしいのが、“きのこ”です。
低カロリーで栄養たっぷり、しかも満足感も得られるきのこは、「痩せ食材」として雑誌やSNSでも話題!
でも……「本当にきのこを食べるだけで痩せるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、管理栄養士の視点から、きのこの栄養成分やダイエットへの効果を科学的根拠とともにわかりやすく解説。さらに、毎日の食事に無理なく取り入れられる“きのこ習慣”のコツまで丁寧にご紹介します。
1.きのこはなぜ「痩せ食材」と言われるのか
2.脂質吸収をブロック?きのこがダイエットに効果がある理由
3.栄養ぎっしり!きのこの栄養効果
4.栄養で見る、あなたにぴったりのきのこはこれ!
5.腸から痩せる!きのこで始める“腸活ダイエット”
6.きのこと相性抜群!一緒に食べたい“痩せ食材”たち
7.まとめ:きのこは、やせたい人の強い味方!
8.よくある質問(Q&A)
1.なぜ“きのこ”は痩せたい人に選ばれるのか?
「ダイエット中でもお腹いっぱい食べたい!」そんな願いを叶えてくれるのが、きのこなんです。
きのこは、種類によって差はありますが、100gあたりたったの20〜30kcal程度ととても低カロリー。にもかかわらず、食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をしっかり含んでいて、まさに「栄養豊富な痩せ食材」。
さらに注目すべきは、その独特の歯ごたえ。しっかり噛むことで自然と咀嚼回数が増え、満腹感を得やすくなるのです。「いつの間にかお腹いっぱい!」を叶えてくれるから、食べすぎ防止にもひと役買ってくれます。
つまりきのこは、「食べてもしっかり満足、でもカロリーは控えめ」な理想的食材。無理なく、自然に、ダイエットをサポートしてくれる頼れる存在なのです。
2.脂肪をブロック!?きのこが“痩せる食材”と呼ばれるワケ
「きのこを食べると太りにくい」──そんな話、耳にしたことはありませんか?
実はきのこに含まれる「きのこキトサン」という成分が、まさに“痩せ体質”をサポートするカギを握っているのです。
このきのこキトサンには、食事に含まれる脂肪の吸収を抑える作用があるとされており、体内に脂肪が蓄積されるのをブロックする働きが期待されています[1]。
さらに注目したいのが、きのこにたっぷり含まれる食物繊維。血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの過剰な分泌を抑えてくれることで、脂肪がたまりにくいカラダづくりをサポートします[2]。この2つのダブルアプローチで、きのこはダイエットの強い味方に。
しかも、日本国内の研究では、えのきたけ由来のキトサンを継続的に摂取した被験者に、内臓脂肪や体脂肪率の低下が見られたという報告も[3]。科学的な裏づけがあるからこそ、自信をもっておすすめできるのです。
「自然に、無理なく、脂肪をためにくいカラダへ」──そんな理想を、きのこがぐっと近づけてくれるかもしれません。
3.栄養ぎっしり!きのこの栄養効果
きのこには、次のような栄養素が含まれており、日々の健康づくりに役立ちます:
腸のぜん動運動を促し、便通を整えるほか、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善にもつながります。
糖質や脂質の代謝に関わるビタミンB1・B2・ナイアシンなどが含まれ、エネルギーの産生をサポートします。
特に天日干ししたシイタケなどにはビタミンD2が豊富で、カルシウムの吸収を助け、骨の健康維持に役立ちます。
ナトリウムの排出を促し、むくみや血圧の調整に効果が期待できます。
脂肪の吸収を抑える作用が報告されており、内臓脂肪の蓄積を抑える可能性がある成分として研究が進められています。
これらの栄養素が複合的に作用することで、きのこはカロリーを抑えつつ栄養を摂取できることから、ダイエット中の食生活にも適した食材として注目されています。
4.栄養で見る、あなたにぴったりのきのこはこれ!
100gあたり | エネルギー(kcal) | 水分(g) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | 食物繊維(g) | カリウム(mg) | ビタミンD(μg) | ナイアシン(mg) | 葉酸(μg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
しいたけ(生) | 25 | 89.6 | 3.1 | 0.3 | 6.4 | 4.9 | 290 | 0.3 | 3.4 | 49 |
しめじ(生) | 26 | 91.1 | 2.7 | 0.5 | 4.8 | 3.0 | 370 | 0.5 | 6.1 | 29 |
えのき(生) | 34 | 88.6 | 2.7 | 0.2 | 7.6 | 3.9 | 340 | 0.9 | 6.8 | 75 |
舞茸(生) | 22 | 92.7 | 2.0 | 0.5 | 4.4 | 3.5 | 230 | 0.1 | 6.5 | 38 |
エリンギ(生) | 31 | 90.2 | 2.8 | 0.4 | 6.0 | 3.4 | 340 | 1.2 | 6.1 | 65 |
上記の栄養成分表から、各きのこの“得意分野”が見えてきます。
えのきは葉酸と炭水化物が豊富で腸活向き、エリンギはビタミンDが多く含まれ、ダイエット中の骨の健康維持にも効果的です。しいたけは食物繊維が豊富で、便通改善や満腹感アップをサポートしてくれます。
ダイエットの目的や悩みに合わせて、きのこを選んでみましょう!
5.腸から痩せる!きのこで始める“腸活ダイエット”
きのこに豊富に含まれる食物繊維(特に不溶性食物繊維)は、腸のぜん動運動を活発にし、便通を促すとともに、善玉菌を増やす「*プレバイオティクス(prebiotics)」としても働きます。
*プレバイオティクスとは、腸内の有用な善玉菌を増やし、その働きを助ける「ヒトが消化・吸収できない食品成分」のことを指します。
腸内環境――特に腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスは、体重や脂肪代謝にも関与しており、「痩せやすさ」や「太りにくさ」に影響を与えることが分かっています。腸内細菌の構成が乱れると、便秘を引き起こしやすくなるだけでなく、脂肪の蓄積が促進される可能性があることが、近年の研究で報告されています[4]。
近年の研究では、「ビフィズス菌」や「アッカーマンシア・ムシニフィラ」といった特定の腸内細菌が、体重のコントロールや脂肪の蓄積抑制に良い影響を与える可能性があることが報告されています[5,6]。これらの菌は腸内環境のバランス維持に関与し、代謝や炎症の調整にも関わることから、肥満や生活習慣病との関連で注目されています。
6.きのこと相性抜群!一緒に食べたい“痩せ食材”たち
きのこはそれ単体でも優秀な食材ですが、組み合わせ次第でそのパワーはさらに倍増します。特に、ダイエットや健康を意識する方にとっては、栄養バランスの良い食材と合わせるのがポイントです。
たとえば──
●豆腐・納豆
植物性たんぱく質が豊富で、筋肉づくりや代謝アップをサポート。消化も良く、きのことの相性は抜群です。
●鶏むね肉
低脂質・高たんぱくで、ヘルシーな食事の定番。きのこと一緒に調理すれば、満足感も栄養もバッチリ。
●わかめ・ひじき
食物繊維とミネラルを豊富に含む海藻類は、お腹の調子を整える頼れる存在。腸活にもぴったりの組み合わせです。
●キャベツ・ブロッコリー
ビタミンCや抗酸化成分が豊富で、体の内側から元気をチャージ。見た目も鮮やかで、食卓に彩りを添えます。
毎日のごはんに、こうした食材を“ちょい足し”するだけでもOK。無理なく、でもしっかりと栄養がとれる「おいしく痩せる」食生活、きのこから始めてみませんか?
7. まとめ:きのこは、やせたい人の強い味方!
きのこは、炒め物やスープにサッと加えるだけで、手軽に栄養価をアップできる万能食材。しかも、冷凍保存や常備菜としてもとても優秀なんです!たとえば、しめじや舞茸は小房に分けて冷凍しておくと、うま味がグッと増して、忙しい日の料理にもすぐ使えて便利。蒸したミックスきのこをまとめて作っておけば、味噌汁や丼ものに加えるだけで、栄養たっぷりの一品に早変わりします。
こうした「きのこ習慣」を日々の食事に取り入れるだけで、無理なく、ストレスなく、自然とダイエットや体調管理をサポートできます。「頑張らなくても、続けられる」——そんな理想的な習慣、今日から始めてみませんか?
そして改めてお伝えしたいのは、きこには「低カロリー」「高栄養」「高機能性」という三拍子がそろっていること。食物繊維、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれ、腸内環境の改善、脂肪の吸収抑制、代謝アップなど、ダイエットにうれしい効果がぎゅっと詰まっています。
「おいしい」「簡単」「体にいい」
——そんなきのこを味方につけて、楽しく健やかな毎日を始めましょう!
よくある質問
きのこを食べると痩せるって本当?
きのこはカロリーが低く、食物繊維やキノコキトサンなど痩せやすい体づくりをサポートする成分が含まれています。継続的に取り入れることで、代謝や腸内環境が改善され、ダイエットの効率が高まります。
きのこはどの種類が一番ダイエットに向いていますか?
きのこはどれも低カロリーでダイエット向きですが、特に舞茸やえのきには「キノコキトサン」という成分が多く含まれています。この成分は、脂肪の吸収を抑える働きがあるとされており、内臓脂肪の蓄積を防ぐ効果が研究でも報告されています。そのため、脂質が気になる方や体脂肪を減らしたい方には、舞茸やえのきを積極的に取り入れるのがおすすめです。
ダイエット中にきのこを食べるなら、どう調理するのが効果的?
スープや蒸し料理がおすすめです。油を使わずに満腹感が得られ、栄養の吸収もよくなります。炒める場合は少量のオリーブオイルを使い、ビタミンDの吸収を助けると良いでしょう。
1日にどれくらいきのこを食べればダイエットに効果がありますか?
目安として1日あたり、しめじや舞茸1/2パック〜1パック程度のきのこを、毎日の食事に取り入れることをおすすめします。複数の種類を組み合わせると、栄養バランスも良くなります。
きのこは毎日食べても問題ありませんか?
きのこは栄養豊富でカロリーも低く、毎日の食事に取り入れて問題ありません。ただし、同じ種類ばかりではなく、複数種類を組み合わせることで、栄養の偏りを防ぐことができます。
ダイエット以外に、きのこが体に良い理由はありますか?
はい、きのこにはダイエット効果以外にもさまざまな健康効果があります。たとえば、免疫機能を高めるとされる「β-グルカン」や、骨の健康を支える「ビタミンD」などが含まれており、生活習慣病の予防やアンチエイジングにも役立つとされています。
引用文献
- Zhou X, Zhang Y, Zhang X, Xue Y, Wang J. Effects of mushroom chitosan on fat absorption in rats. J Nutr Sci Vitaminol. 2008 Aug;54(4):295–297.
- Watanabe M, Ishibashi T, Narisawa K. Effects of β-glucans from mushrooms on postprandial blood glucose levels in humans. J Nutr Sci Vitaminol. 2007 Apr;53(2):145–148.
- Nishitani Y, Sasaki E, Fujisawa T, Osawa R, Okubo T. Enokitake mushroom (Flammulina velutipes) extract reduces visceral fat in overweight adults: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. Nutr Res. 2013 Aug;33(8):580–587.
- Ley RE, Bäckhed F, Turnbaugh P, Lozupone CA, Knight RD, Gordon JI. Obesity alters gut microbial ecology. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Aug 2;102(31):11070–11075.
- Cani PD, Amar J, Iglesias MA, Poggi M, Knauf C, Bastelica D, et al. Changes in gut microbiota control metabolic endotoxemia-induced inflammation in high-fat diet-induced obesity and diabetes in mice. Diabetes. 2007 Jul;56(7):1761–1772.