「食生活は寿命と関係ない」は本当?長生きと食生活について解説【管理栄養士監修】
掲載日:2025.08.26(最終更新日:2025.08.28)
「食生活は寿命と関係ない」という声を時折耳にしますが、実際はどうなのでしょうか。
本稿は食生活と寿命について、管理栄養士の視点でわかりやすく解説します。
1.結論:食生活は寿命に関係あります
2.どうして食事で寿命が変わるの?
3.食事パターンで見る長寿:3つの“型”
4.体重・ダイエットと寿命の関係
5.30〜60代が今見直すべきこと
6.まとめ—明日からの一歩
7.管理栄養士に相談してみよう!
1. 本稿の結論:食生活は寿命に関係あります
研究やメタ解析では、健康的な食事パターンに近づくほど、総死亡(あらゆる原因による死亡)リスクが有意に低いことが繰り返し示されています。
例えば、地中海食の頻度が高い人は、全死亡リスクが約23%低いという報告[1]があります。
さらに、DASH食のような食事は血圧を下げ、長期的な心血管イベントや死亡の抑制につながると示唆[2]されています。
2. どうして食事で寿命が変わるの?
私たちの体は日々の食事からつくられます。
野菜・果物、魚、豆類、玄米や全粒粉パンなどをよく食べる人は、将来の病気が少ない傾向があることが複数の研究で示されています[3]。
一方、塩分や砂糖の多い食事、菓子パン・加工肉、砂糖入り飲料の頻回摂取は、エネルギー過剰や代謝異常を招きやすく、長い目で見ると不利です。
食生活は生活習慣病と密接な関係にあるため、食生活を整えることは結果的に寿命や健康にも良い影響が期待できます。
3. 食事パターンで見る長寿:3つの“型”
難しく聞こえますが「食事パターン」とは、毎日の食べ方の“型”のことです。
長生きにつながりやすいとされる代表は次の3つ。
オリーブ油・魚・豆・ナッツ・野菜果物が中心
血圧にやさしい“減塩+野菜果物+低脂肪乳製品”
魚・大豆製品・野菜・海藻・きのこ・米が中心
どれも共通しているのは、
- 野菜・果物・豆・全粒穀物を“増やす”
- バターや脂身の多い肉を“オリーブ油や魚”に置き換える
- 塩分・砂糖・超加工食品(お菓子や菓子パン、加工肉など)を“減らす”です。
地中海食
【どんな食べ方?】
・油はオリーブ油が主役
・魚・豆・全粒穀物・野菜・果物・ナッツをよく食べる
・赤身肉や加工肉は控えめ、乳製品は食べすぎない
・お酒は飲むなら少量(無理に飲まない)
DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
【どんな食べ方?】
・野菜・果物を毎食たっぷり
・低脂肪の乳製品(牛乳・ヨーグルトなど)を適量
・塩分を減らす(しょうゆは“かける”→“つける”へ)
・全粒穀物・豆・ナッツを取り入れる
・飽和脂肪(バター・脂身の多い肉)や砂糖を控える
日本型食(和食)
【どんな食べ方?】
・魚・大豆製品(豆腐・納豆)・野菜・海藻・きのこ・米が中心
・出汁や香味を生かして味つけはほどほど
・漬物・加工肉・インスタント麺は頻度を控えめに
4. 体重・ダイエットと寿命の関係—「痩せる」より「無理なく適正に」
短期の急激な減量を狙うより、中長期的な“食事の質”の改善(全粒穀物・果物・野菜・魚を増やし、精製穀類・砂糖飲料・加工肉を控える等)を基本とする方が、持続的です。
米国の大規模前向きコホート研究では、食事の質スコア(AHEI・aMED・DASH)が改善した人ほど、その後の総死亡リスクが8〜17%低い関連が示されました[3]。
減量が必要な場合でも、筋肉量と骨を守る観点から、
①エネルギー制限下でも相対的に高いたんぱく質摂取とレジスタンス運動を組み合わせる、
②カルシウムとビタミンDの不足を避ける(高用量サプリの一律な追加は推奨しない)
といった“過不足のない摂取”が重要です。
5. 30〜60代が今見直すべき「食生活で気をつけること」
食生活で気をつけたいことをまとめました。
あなたはいくつ改善できそうですか?
一緒に見てみましょう!
✅主食:白米7 → 全粒3へ(週あたりの回数ベースでもOK)
✅たんぱく質:手のひらサイズの魚/鶏/大豆製品を毎食(目安:体重1kgあたり1.0~1.2g / 日を目安に)
✅野菜・果物:野菜小鉢2~3 + 果物1 / 日(色のバリエーションを)
✅乳製品・小魚:カルシウムを意識
✅油:バター系 → オリーブ油/菜種油へ置換
✅塩分:栄養成分表示のNa(食塩相当量)を確認し、1食2g未満を意識
✅加工食品:スナック・菓子パン・加工肉は週の上限を決める
✅飲料:砂糖入り飲料は特別な日に、ふだんは水・無糖茶
6. まとめ—明日からの一歩
●「食生活は寿命と関係ない」は誤り。食事の質を少しずつ上げるほど、長い目で総死亡リスクが下がる傾向。
●食生活の変化は“小さな置換”から:白→全粒/飽和→不飽和/かける→つける。
●食生活で気をつけることは、減塩・繊維・加工食品の抑制が三本柱。
●検診の数値と家庭測定で、8週間ごとに微修正。無理なく続くけることが長寿への最短ルート。
7. 管理栄養士に相談してみよう!
健康的な生活を送るための最初の一歩は、食生活を見直すことから始まります。
しかし、
『どこから始めたらいいかわからない』
『一人で始めるのは難しい』
と感じる方も多いのではないでしょうか?
そんな時は、明石市の中山クリニックの栄養相談をぜひご利用ください!
当クリニックでは、経験豊富な管理栄養士が一人ひとりの健康状態やライフスタイルに合わせた個別プランを作成し、マンツーマンで丁寧にサポートいたします。
あなたの健康目標を達成するための最初の一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか?
引用文献
- Ahmad S, et al. JAMA Netw Open. 2024;7(5):e2414322.
- Fung TT, et al. Arch Intern Med. 2008;168(7):713–720.
- Sotos-Prieto M, et al. N Engl J Med. 2017;377(2):143–153.